昭和女子大学の「顔」であり、ベストセラーとなった『女性の品格』(PHP新書)などの著作でも知られる坂東眞理子さんは、もともと学者だったわけではなくキャリア官僚の出身だ。総理府(現内閣府)に入省し、内閣広報室参事官や男女共同参画室長や埼玉県副知事として活躍したあと、57歳で転じた大学の世界でも手腕を発揮。学長や理事長として、学生のキャリア支援や新学部設置を次々と進めてきた。最近では昭和女子大学の敷地内に米テンプル大学ジャパンキャンパスを誘致し、提携関係を深める方針を打ち出すなど、大学経営に常に新風を吹き込み続けている。

無理にでも人を褒めよう

フランスの哲学者アランの「上機嫌は人間の第一の義務」という言葉は、私のモットーです。とりわけ年をとったら、意識して「上機嫌」でいることが大切です。

昭和女子大学理事長兼総長 坂東眞理子氏

人は高齢になると、自分の気持ちに忠実に、ありのままの状態でいようとすると、どんどん不機嫌になってしまいます。だから意識して自分の機嫌をよくする。そうすると周りに人が集まってきます。誰でも機嫌の悪い人より機嫌のいい人のそばにいたいし、怖い人には近づきたくありません。

上機嫌でいることで、一番励まされるのは自分自身です。たとえおかしくなくても笑顔をつくる。よく「悲しいから涙が出るのではなく、涙が出るから悲しいのだ」と言いますが、形から入ることはとても大事です。

衰えていく自分自身を見つめているばかりでは気が滅入ります。そうではなく、外に目を向け、新しいことや知らなかったこと、おもしろそうなことを探しましょう。

欠点をあげつらうより、できるだけ物事のポジティブな面を見つけ、相手のいいところ、がんばっているところを無理にでも探して、褒めてあげるようにするのです。

人は誰でも認められたり称賛されたりするのはうれしいものです。人を動かすには地位やお金が必要だといわれますが、褒め言葉なら聞いてもらえます。しかも経験のある年長者から褒められればうれしくないわけはありません。ですから仮に退職して地位がなくなったとしても、遠慮せずにどんどん人を褒めるべきです。

そして「よいおせっかい」をすることです。

「年をとったら自分などもう用なしだ」と引っ込んでしまうのではなく、そういう自分が必要とされている場面を見つけ、人のためにできることをする。そこに頭を使うべきです。

そのときに注意しなければならないのは、若い人に尊敬されたいなどと余計な期待をしないこと。期待するから、「尊敬してくれない」と腹を立てることになるのです。