「自分は会社の奴隷じゃないんだから、辞めようが何しようが、勝手でしょ!」そんな辞め方をしたら、信用を失うのは当たり前。企業のマナー研修の第一人者とカリスマヘッドハンターに転職の際の正しい振る舞いを伝授してもらった。

「退職をメール1本で済むと思っている」

多くの企業で終身雇用制度が揺らぎ、1つの会社で定年まで働き続けることが当たり前ではなくなりつつある現代。かつてはマイナスのイメージだった転職も、今ではポジティブなものとして捉えられるようになった。

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しかし、転職が当たり前になったためか、転職に伴う常識・マナーが乱れ気味だという。長年、社会人に仕事のマナーの基本を伝授してきたマネジメントサポートグループ代表の古谷治子さんは、「退職をメール1本で済むと思っている人が少なくない」と頭を抱える。

「退職は年末の12月と年度末の3月に多いものですが、2019年のGWの10連休は、人事にとっては脅威です。連休明けに、やっぱり辞めると言い出す新人が、大量に現れるのではないかと危惧しているのです」(古谷さん)

人手不足の昨今、会社も慰留に必死。辞めたいのに会社が辞めさせてくれないと、労働基準監督署に駆け込む人もいる。

そもそも退職の申し出は、労働者側から労働契約を解約する旨の意思表示であり、会社の承認までは必要ない。しかし、退職には一定のルールがあり、それに従った手続きをとるというのが原則。

東京都のTОKYОはたらくネットでは、「就業規則のある場合は、その規定に従って、退職届を提出します。就業規則がなく、契約期間の定めがない場合には、労働者は14日前に退職を申し出ることによって、契約を解除できます(民法第627条)。ただし、就業規則を無視して退職を強行すれば、トラブルになる可能性が高くなるので、事前に会社と話し合う必要があります」と定義している。

「上司に面と向かって辞めますと言えないからと、退職の申し出や手続きを代行業者に委託する人も現れました。気持ちはわかりますが、自分自身で行動対応してほしいです」(古谷さん)

よほどのことがない限り、円満に退職するのが一番である。そのためには、退職に伴うマナーも知っておくべきだろう。

辞めるのだから、あとは知ったことではないという態度はもってのほか。転職エージェントmorich代表の森本千賀子さんも、仕事ができる人ほど、元の職場を考慮し、スマートに辞めていると断言する。