退職の心得(1)転職活動は職場には内密に行うこと

転職先を決めずに退職し、それから転職活動をはじめる人もいれば、転職先が決まってから退社する人もいる。

森本さん(前出)は、転職先が決まってからの退職を勧める。

「人手不足の時代だから大丈夫だろうと、転職を安易に考えて退職したものの、なかなか就職先が決まらないという人は珍しくありません。転職市場では、ブランクはネガティブに映るポイントでもあります。半年ものブランク期間中に何をしていたのだろう? もしかして計画性がない人ではないか? それとも、いろいろな会社を受けたけれど採用されなかったのか? いずれにせよ採用にマイナスな要素として判断されてしまう傾向があります」

となると、在職中に転職活動を進めることになるが、転職活動は内密にすべきなのか? 内密にすべきだと古谷さん(前出)は言う。

「今いる会社から給料をもらいながらの転職活動。もう心ここにあらずなわけでしょう。職場の同僚や上司が知って、気分がいいわけがありません。会社に非常に失礼なことをしているのですから、黙っているのが礼儀です」

森本さんも、転職活動は現在の職場にコンフィデンシャルに進めるものだと言う。

「1つはメンタルの問題。いつまでに辞めると職場で宣言してしまうと、期日までに転職先を決めなければいけないというプレッシャーのなかで転職活動をすることになります。これがよい結果をもたらすとは思えません。

もう1つは、次へのチャレンジが決まっていないなかで退職の話を切り出すと、会社側が引き留めるために、さまざまな慰留対策を講じてきて、結局ずるずると辞めにくくなることがないとも言えません。いずれにせよ、転職活動は内密に行うべきなのです」

退職の心得(2)慰留に曖昧な態度を見せるのは失礼

辞める旨を伝えると、必ず上司から慰留はされるもの。

「会社としても、辞めてほしくない人と、辞めてくれてホッとしているのが本音という人がいます。いずれにせよ、慰留されたら『ありがとうございます』と感謝の言葉を述べるのが礼儀です」(古谷さん、以下同)

まずは、これまでお世話になったこと、熱心に慰留してくれることに対して感謝を表し、それでも辞めることを明確に伝える。

「辞められたら困る」「もう1度考え直してくれ」という熱心な慰留に、「これまでお世話になった上司の頼みを頑なに断るのは失礼。説得に心が動き、悩んでいるところを見せたほうがいいのかもしれない」と気の弱い人は優柔不断な態度を見せがちだが、これは最悪だ。