ちなみに「退職願」と「退職届」と「辞表」。どれも同じようだが、内容は異なる。

「退職願」は、労働契約の解約を願い出るもの。会社に承諾されて初めて退職となる。「退職届」は会社への明確な意思表示なので、受理された時点で退職となる。

一般的に「退職願」は自己都合による退職。「退職届」は会社都合での退職の際に使用する場合が多い。

「辞表」は会社役員などが役を辞する際に使うもの。また、公務員が職を辞する場合も「辞表」を用いる。

退職の心得(5)退職の挨拶はくれぐれも慎重に

退職するにあたり、お世話になった人に挨拶をするのは基本的なマナー。最近では一斉にメールを流して済ますことも多いが、人一倍お世話になった人には実際に会って感謝を伝えたい。

社外への退職の挨拶はどうすべきか。退職の挨拶状を出すほうが礼儀正しいような感じも受けるが、「場合による」と古谷さんは注意を促す。

「会社にしてみれば、人が辞めたというのはマイナスの印象を与えます。あの会社また人が辞めたみたい、となることもあるので、取引先への挨拶状は、会社の指示に従ったほうがいいでしょう。

仕事の引き継ぎの際も、辞めることは言わずに『今度、異動になったので後任を連れてきました』と紹介すべきです」(古谷さん)

転職の心得(6)管理職採用された場合の心得

管理職採用された場合、転職先でどのようなことに気を配るべきなのだろうか? 古谷さんは、気概を持って新しい職場に挑むことを進める。

「会社が中途採用者に期待するのは、教育に時間を割かずに済む即戦力だということ。そして、ウチになかった新しい視点・発想・工夫。ですから、すぐにでも新しい発想でバンバン仕事をしてもらいたい。

管理職採用の場合、部署をあなた色に染めていいと思います。チームとは、もちろん社員一人一人が職場の雰囲気をつくるのですが、やはりその部署の上司の言動で決まる。部長が1人代わっただけで、職場はガラリと変わるでしょう」

ただし、と古谷さんは続ける。

「初めから暴走してはいけません。組織の風土などを知るためにも、3カ月ぐらいは様子を見たほうがいい。会社の雰囲気、職場のキーマンは誰かを知って、それから動くべきです」

まずは社内のネットワークづくりから。たとえベテランでも腰は低く。明るい笑顔も新人の基本だ。

「組織ですから、そこは役職者を大いに活用しましょう。課長として入るのなら、直属の部長はもちろん、他部署の課長にも、新人なので教えてくださいと進んで話しかけ、頼んでみる。相談された人も、悪い気はしません」