突然、大切な人がいま目の前で亡くなった。悲しみにくれるなか、病院から「ご遺体の搬送はどちらにお願いしましょうか?」と問われる。そのときどう答えることができるのか。人生で経験することの少ない、身近な人が亡くなったときの手続きを専門家に聞いた――。
親が、死んだときの書類・手続きマニュアル
身内が亡くなると、数分、数時間単位で怒濤の手続きラッシュに追われることになる。どうすれば、いざというとき、あわてずに済むのか。相続と終活に詳しい行政書士の明石久美氏はこう解説する。
「亡くなった後の手続きや相続の負担を軽減するために重要なのは生前対策です。元気なうちから家族で葬儀や墓、財産の情報などについて話し合っておく。ノートなどに意思や情報を書き残し、家族に保管場所を伝えておくだけでもずいぶん違います」
法的効力はないが、親の意思や情報を伝える、知るという点では大いに役立つ。ペットや遺品の行き先も残したいところだ。
「もっとも、書き残すのは自分が必要だと思ったことだけで構いません。例えば通帳残高や保管場所、暗証番号などは残すとむしろ防犯上の問題があったり、トラブルの火種になったりすることも考えられます。『何のためにその情報を残すのか』をよく検討し、定期的に見直すことが大切です」