いざというとき、どのような書類や手続きが必要になるのかを把握すれば、残すべき情報もわかる。手続きについて詳しく見ていこう。
▼葬儀・法要編
葬儀社事前見積もりのチェックポイント
悲しみにくれる暇もない葬儀社選び
臨終を迎えたその瞬間から、家族はさまざまな手続きに追われることになる。あまりのあわただしさに、悲しむ時間もない。なぜ、そうなってしまうのか。明石氏はこう解説する。
「日本では、病院で亡くなる方が全体のおよそ8割を占めています。病院で亡くなると霊安室に移されますが、すみやかに遺体搬送を手配するよう促されます。中には『2時間以内に出てください』などと急かされることも」
遺体の搬送は葬儀社にお願いすることになる。決まった葬儀社がいなければ、病院から葬儀社を紹介してもらうこともできるし、葬儀社に搬送のみを依頼することも可能だ。ただ「“とりあえず”で選んだ葬儀社に葬儀をお願いしてしまうケースが大半」と明石氏は指摘する。
葬儀社の到着を待つ間も、死亡診断書の受け取りや医療費の精算、遺体の安置先の相談など雑務が待ち受けている。そして、遺体を自宅あるいは葬祭会館など、自宅以外の場所に安置した後からは、葬儀社と見積もり作成など具体的な相談が始まる。
「葬儀社が決まらないことには火葬場や斎場の予約が取れず、葬儀の日時も決まりません。特に年末年始やお盆などはただでさえ火葬場が混むので、もたもたしていると予約が取れないことも珍しくありません。スケジュールが後ろに倒れるほど、安置料やドライアイス代などがかさみ、費用も増えていきます」
亡くなった後に、葬儀社を選ぼうとするとどうしても、なりゆき任せにならざるをえない。納得のいく、後悔しない葬儀社を選ぶには、やはり事前の準備が欠かせないという。
「親が自分自身で決めてくれるなら従えばいいし、決める気配がないなら、子どもが水面下で動いても構いません。まずは地域の葬儀社を2社ほど選び、直接足を運んで見積もりを取ってみましょう」
見積もりの作成時には亡くなったときと同様、菩提寺の有無や宗派、会葬者の人数などを質問される。現時点でわかっていること、これから親兄弟に確認しなくてはいけないことを整理するうえでも役に立つ。
「わからないことがあったら、どんどん質問しましょう。その応対も“信頼できる葬儀社かどうか”の判断材料になります」
これぞという葬儀社が見つかったら、生前予約もしておいたほうがいいのだろうか。
「そこまではしなくても構いません。葬儀社にもよりますが、一定期間は見積もりのデータが残っているので、必要になったときに『以前、相談にうかがいました』と伝えれば、話が早く済む。何より、1度聞かれた内容に答えていくだけなのであわてずに済みます」
・担当者が遺族に寄り添った応対をしてくれるか
・遺族の意向に沿った提案をしてくれるか
・葬儀費用の明細があり、相場より高くないか