「孤立死者」の割合が最も高いのは東京23区

このような「孤立死」は、全国でどのくらい起きているのか。

孤立死の法的な定義はなく、国などによる全国規模の公的な統計もない。このため、読売新聞では、全国47都道府県警と、東京23区を管轄エリアに調査、分析を行っている東京都監察医務院への取材で実態に迫るべく試みた。

具体的には、同医務院の定義を参考に、「自宅で死亡し、警察が検視などで関与した独居者(他殺、自殺を除く)」を孤立死と位置づけ、その人数を全国47都道府県の警察本部に確認した。その結果、2016年の1年間に誰にも看取られず自宅で亡くなった一人暮らしの人の人数について、同医務院と神奈川、静岡など19道県の警察本部から回答があり、この範囲だけでも、合計で1万7000人以上に上ることが判明した。

回答を合算した結果、これらの地域で孤立死した人は計1万7433人(鳥取、広島、山口の各県警は概数で回答)おり、65歳以上が7割超の1万2745人(同)を占めた。全死亡者に占める孤立死者の割合は、およそ30人に1人にあたる約3.5%。これが最も高かったのは東京23区(5.58%)で、低かったのは佐賀県(2.12%)だった。

周囲に助ける人がいない、情報を得る機会もない

19道県と東京23区での全死亡者数は全国の約38%を占めており、これを基に2016年の全国での孤立死者数を単純計算すると約4万6000人となる。また、2012年以降の孤立死者数が把握できる東京23区と神奈川、静岡、岩手の各県で年ごとの推移をみると、2016年の合計人数は2012年と比べて計639人(約8%)増えていた。

読売新聞社会部『孤絶 家族内事件』(中央公論新社)

同医務院のデータを基に、東京23区で2016年に孤立死した人の傾向を見ると、性別では男性が7割を占める。最も多かった年代は、男性が65~69歳(約19%)、女性は85歳以上(約29%)だった。死因は全体の約半数が虚血性心不全などの循環器疾患で、多くが突然死とみられる。

孤立死の実態に詳しい日本福祉大の斉藤雅茂准教授(社会福祉学)は、この調査結果について、「孤立死した人の多くは周囲に助けてくれる人がいなかったり、介護などに関する情報を得る機会を失っていたりした可能性が高い。対策の前提として国による全国的な実態把握が必要だ」と話した。

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