5人集めてNHK日曜討論で「ぶっ壊す」が夢

1つ目の理由は、国会の「数の壁」を破ることだろう。国会は議員数によってできること、できないことがはっきりしている。

独りぼっちだと、本会議や委員会で質問したり質問主意書を提出したりする以外、やれることは少ない。2人になれば会派が結成できて、他の党派と交渉できる。10人いれば党首討論や本会議での代表質問の権利が与えられる。参院10人、衆院20人で法案を提出できる。

上を見ればきりがないが、立花氏が当面目指すのは「5人」だ。NHKの日曜討論に参加できる基準は「得票率2%プラス国会議員5人」とされる。「2%」のほうは先の参院選の選挙区でクリアしているので、メンバーを5人にしてNHKの日曜討論に出席し、「NHKをぶっ壊す」とやるのが悲願なのだ。

2つ目の理由は政党交付金だ。N国は参院選で1議席確保したことで、年間5900万円の政党交付金を得る権利を得た。メンバーが増えれば増えるほど交付金の額は跳ね上がる。立花氏は過去、選挙を「ビジネス」と考えているような言動をしており、交付金の額にも敏感に反応している。

スクランブルと改憲を「バーター」にする

N国は、他党からも熱視線を浴び始めた。安倍晋三首相が目指す憲法改正に向けた補完勢力になり得るとみられるようになった。

N国は選挙戦を「NHKのスクランブル放送」の1本に絞って戦い、他の政策についてはほとんど語ってこなかった。しかし立花氏はもともと保守的な思考の持ち主だ。

そして選挙後、立花氏は「スクランブル放送の実現というワンイシューでいくには限界がある」と、発言を微妙に変え始めている。要するに、目指すスクランブル放送を実現するためには、他の政党の政策にも関与し、取引することも模索し始めたのだ。

立花氏が特に意識するのは政権与党の自民党。「自民党が政権をとっているわけだから、しっかりとやってほしい」とエールを送る一方、「とりあえず憲法改正に反対するが、賛成と引き換えに、安倍氏にスクランブル放送をしてもらう」とまで言い切る。スクランブルと改憲をバーターにするという意味だ。