やる気を維持するために必須の3原則とは

何であれ、何かを身につけるためには、モチベーション(やる気)は非常に重要です。やる気を持つためには、自己の成長が前提の「面白い」でなければいけません。

やる気を維持するために必要なのが、目的、自律、熟達の3つであるといわれています。目的は明確で、多様化を前提としたグローバル社会で選択肢を増やして生き残るためには英語を身につける必要があるということです。

自律に関しては、教室で一方的に教わるだけでなく、自分で何らかの工夫をしてみることが重要です。例えば、議論に消極的な姿勢を解消するために、まずは仲間をつくり、テーマを決め、言葉の定義を行って、日本語で議論をしてみることから始めてみてはどうでしょうか。

また、せっかく大学で外国人と知り合いになったら、とにかく英語でしゃべってみましょう。しゃべれば何がしか得るものがありますが、しゃべらなければ何も得ることはできません。自分の意見や主張を持ち、それを発言する場を自分で積極的につくることが重要です。

3つ目の、熟達を感じるとは、英検など資格試験の等級よりも、よりうまく自分の意見や主張を伝えられ、より有効なフィードバックを得られるようになったと感じること、つまり、語彙、話し方、論理の組み立て方の進歩や話の幅の広がりを感じられることであると思います。

利害が絡むビジネス英語は意外と丁寧

まず、英語で伝えたい意見を持つことが必要ですが、その後は、意見の背景となる話題やテーマを広く持つことが必要になります。その話題やテーマについて言いたいことがあれば、その話題やテーマについて一層勉強するはずですし、海外では、どのように考えられているのか、どのような議論が行われているのかに興味を持つはずです。

小笠原泰『わが子を「居心地の悪い場所」に送り出せ 時代に先駆け多様なキャリアから学んだ「体験的サバイバル戦略」』(プレジデント社)

常に興味を持って考えていれば、思考は広がるものです。これは、日本語においても全く同じです。そのために、日々の小さな一歩の積み重ねが意味を持ちます。毎日ちょっとしたことを続ける複利計算の考え方です。

まずは、大学の図書館で、英字新聞の見出しを毎日確認してみてください。ウォールストリートジャーナルあたりが良いでしょう。それを日本の新聞の一面と比べてみましょう。そして、興味のありそうな記事を一本読んでみてください。その時、英和辞典を使わないことも重要です。

慣れてきたら、ビジネスウィークなど英語の雑誌の記事を1ページ読んでみましょう。自宅で時間のある時に、英国のBBCとアメリカのCNNを見比べ、時事問題に対する報道のスタンスの違いを、日本の報道との比較も含めて探ってみるのも良いでしょう。

小説が好きであれば、それを読むのも、語彙と言い回しの引き出しを増やすのに有効です。この日々の成果を、英語で議論をするときに使ってみてください。少しずつかもしれませんが、うまくなったと感じることができるはずです。

ビジネスでの英語は難しいのでは、という不安があるかもしれませんが、実は意外と大丈夫なのです。なぜかといえば、ビジネスでは利害が絡むので、英語でうまくしゃべれなければ、相手が聞き返してくれますし、うまく聞き取れなければ、相手はゆっくりしゃべってくれるからです。学生時代に人間関係を構築できる程度の英語を身につけていれば、社会に出た後のビジネスでの英語は、それほど心配する必要はないのです。

小笠原 泰(おがさわら・やすし)
明治大学国際日本学部教授・トゥールーズ第1大学客員教授
1957年生まれ。東京大学卒、シカゴ大学国際政治経済学・経営学修士。McKinsey&Co.、Volkswagen本社、Cargill本社、同オランダ、同イギリス法人勤務を経てNTTデータ研究所へ。同社パートナーを経て2009年4月より現職。主著に『CNC ネットワーク革命』『日本的改革の探求』『日本型イノベーションのすすめ』『なんとなく日本人』『2050 老人大国の現実』など。
(写真=iStock.com)
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