2年に1回だった薬価の改定は、1年に4回に増えた
この「オプジーボ効果」で、2年に1回だった薬価の改定は、1年に4回に増えた。また今年4月からは費用対効果の評価による薬価引き下げの新制度もスタートした。
こうした制度を柔軟に作って適用し、高額の薬価を引き下げてくことが大切だ。キムリアについても早期に薬価の引き下げを検討すべきだ。そしてキムリアのように製薬会社の「言い値」で薬価を決めるような事態は避けたい。
ちなみにオプジーボを巡っては、京大特別教授で昨年のノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑(ほんじょ・たすく)氏と、オプジーボを開発した小野薬品工業(大阪市)とが、特許の対価の問題で対立が続いている。
製薬会社が主張する「高額薬価」を鵜呑みにはできない
「高額ながん治療薬 適正な価格をどう決める」との見出しを掲げるのは、5月25日付の毎日新聞の社説である。
その毎日社説はこう主張する。
「超高額の新薬は今後も続々と承認されることが予想される。薬は医療費全体の約2割を占める。保険財政が破綻しないよう対策を講じなければならない」
遺伝子の組み換えなどバイオ技術が進み、それを応用した医薬品が次々と開発されている。医薬品の高額化はそれに伴うものである。難病の患者が治ることは良いことだが、それによって医療財政がパンクするようでは元も子もない。
毎日社説が主張するように対策を講じていくことが求められている。毎日社説はキムリアの高い薬価が認められた理由に触れる。
「患者本人から免疫細胞を採取して凍結保存したものを米国に送って加工し、がん細胞を攻撃する力を高めて患者の体に戻す『オーダーメード』の薬だからである。通常の薬のような大量生産はできない。1回の投与で完治が期待されており、長期間服用し続ける治療薬と同列に考えることはできないだろう」
オーダーメードであれば、大量生産はできないだろう。一定の期間で投与される既存の抗がん剤とも比較できない。だからと言って高額薬価をうのみにはできない。