「子どもはいないほうが楽だよ」と言う上司には何も話せない

【2:不妊治療に関する職場のコミュニケーションの難しさ】

「不妊白書2018」によれば、職場で「不妊治療をしていることを話しづらいと感じる」人は81.3%に上ります。その理由は、「不妊であることを伝えたくなかったから」(65.2%)が最も多く、「不妊治療に対する理解が少なく、話してもわかってもらえなさそうだから」(52.1%)、「周囲に心配や迷惑をかけたくなかったから(51.4%)、「妊娠しなかったとき、職場にいづらくなりそうだったから」(43.0%)と続きます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/recep-bg)

調査の自由記述には、下記のようなコメントがありました。

「『子どもはまだ?』と言われると、プレッシャーに感じるので、話しませんでした」(30代女性)
「部署に女性が1割もいなく、上司も全員男性のため話しづらいです」(30代女性)
「『子どもはいないほうが楽だよ』『不妊治療をやめたら、すぐに妊娠する人多い見たいだから、やめてみたら?』と言われ、話しづらく感じました」(30代女性)

不妊治療に対して無理解な人の多さに悩む女性

不妊治療に対して無理解な人が多く、女性たちはコミュニケーションに負担を抱えています。Fine理事の野曽原誉枝(のそはら・やすえ)氏はこう語ります。

「当事者がコミュニケーションを取ろうとしても難しい場合が多いのが事実です。私は、管理職や周囲の人たちに、まず『不妊はある特定の人の特別な状況ではない』ということを知っていただきたいと思います。そして、『望めばすぐに授かるものではない』『不妊治療さえすれば必ずすぐに授かるものではない』ことを、正しい知識として身につけてほしいと思います」

最近では、働き方改革に関する研修や男性管理職を中心とした女性部下育成に関する研修を行う企業が増えています。そのような機会を通じて、不妊治療に悩む女性の問題について情報提供を行っていくことが、コミュニケーション改善の第一歩につながると感じます。