小泉進次郎氏へのつなぎ役なら首相に就くことは可能

新元号を発表して知名度を上げるのと時を同じくして、党内の影響力も増しつつある。首相候補として名が上がり始めた。これまでは、政治力量は誰もが認めていたが地味な印象から抜け出せなかった菅氏。党の幹事長や官房長官は適任だが、首相候補という見方は少なかった。

その殻を破ったのは、「平成」会見から「平成おじさん」として知名度を上げ、首相に上り詰めた小渕恵三氏と菅氏をダブらせて見る人が増えているからだろう。

菅氏は今、70歳。首相を目指すには少し高齢ではある。ただし二階氏は80歳。麻生氏は78歳。2人と比べると若い。まだ37歳の小泉進次郎氏へのつなぎ役としてワンポイントで首相に就くことは可能な年齢でもある。

菅氏は小泉氏もかわいがっている。もし菅政権が誕生したら早速、小泉氏を官房長官などの要職につけて事実上の後継指名するのではないか、という気の早い予測まで出始めている。

脇役から主役に位置づけが変わった「証拠」

脇役から主役に位置づけが変わった「証拠」として、二階氏の言動を指摘しておきたい。二階氏は、冒頭紹介したように文芸春秋5月号で「菅さんはこの難しい時代に官房長官として立派にやっておられますね。それは素直に評価に値すると思っています。また、彼はそういうこと(ポスト安倍の総裁候補)にも十分耐えうる人材だとも思っています」とべた褒めしている。

二階氏は独特の政局観を持つ。自分で事態を切り開くというよりは、どちらが勝ちそうかを瞬時に判断し、誰よりも早く勝ち馬に乗る。そのことは過去の記事(「80歳の古だぬき」二階氏が権力もつ理由)で紹介している通りだ。

二階氏は9日の記者会見で改めて菅氏のことを聞かれ「これから多くの候補が出てくると思いますが、その一人として一例をあげたということであります。党のみんなが関心を強くもってもらい、いい候補選びに協力を促すということです」と答えた。

二階氏は、いち早く2021年の党総裁選で安倍氏の4選を支持すると明言した。安倍氏が「勝ち馬」とにらみ、一点買いしていたのだ。今も安倍4選を基本と考えているのだろうが、少なくとも第2の選択肢として菅カードも考え始めた。このことは、2021年の自民党内の総裁レースの潮目が変わりつつあることを物語っている。

(写真=時事通信フォト)
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