とはいえ、何らかの症状が出ているのに受診を控えて手遅れになることもある。早川氏も「一概に時間外や深夜の受診を否定することはできません」と語る。そこで長尾クリニック院長の長尾和宏氏は「地域ごとの医師会が運営している休日夜間診療所の利用を考えてみては」と提案する。

「意識がないとか吐血したといった急病であれば、救急車を呼んで大きな病院へ行ったほうがいいでしょう。しかし、風邪気味で急に高熱が出たといったような場合は、休日夜間診療所が頼りになります。地域の医師が交代制で、当直で勤務していますから」(長尾氏)

もちろん、そこで万一「重症」あるいは「緊急性あり」と判断されれば、適切な医療機関に回してくれる。

「いきなり大病院へ行っても、より緊急性の高い患者がたくさんいます。そこへ軽い症状の人が行けば後回しにされて診てもらえないというのが実状です。大病院としても『重症の人以外は休日夜間診療所へ行ってください』というのが本音でしょう」(長尾氏)

また各地域ごとに「こども救急電話相談」ダイヤルが用意されている。どう対処していいか自分ではわからない場合には、利用してみるのも1つの手だ。医師や看護師から対処方法について助言をもらえる。

駆け込み受診は、命取りになることも

ところで、時間内診療であっても「損・得」があるのをご存じだろうか。お金の支払いに関してではない。長尾氏は「駆け込み受診は大損です」とキッパリ言う。

患者としては、早い時間に行くと混んでいて長く待たされるイメージがある。診療時間の最後のほうが早く診てもらえるうえ、医師にゆっくりと話を聞いてもらえるのではないか、との期待感もある。

「ハッキリ言って逆です。診療時間の終わり間際に限って重症患者が飛び込んできて、予期せぬ慌ただしさに見舞われます。それに診療時間の後には書類の整理や往診、医師会の会合などスケジュールがびっしり。つまり『時間内に外来を終わらせなければ』と、内心少し焦っている状況なのです。検査も説明も思うようにできないこともありえます」(長尾氏)

駆け込み受診が命取りになることだってある。

「緊急性が高く手術・入院が必要だと判断して、ほかの病院を紹介しようにも、遅い時間では医師も帰ってしまうので選択肢がぐっと狭まります。同じ金額で診てもらうなら、朝一番の受診をお勧めします」(長尾氏)