8年前からSNSに写真を投稿し続け、インスタグラムのフォロワーが170万人を超える37歳がいる。ミニチュア写真家の田中達也氏だ。大学で美術を学び、地元のデザイン会社に就職。SNSに投稿していたジオラマ人形を使った作品が話題となり、ミニチュア写真家として独立した。テレビドラマやCMにも起用される着想の源泉とは――。
8年前からSNS投稿を欠かさない
37歳のミニチュア写真家・田中達也が作るのは、日常に存在するものを別のものに見立て、ジオラマ用の小さな人形と組み合わせたアート作品だ。8年前から毎日欠かさずSNSへの投稿を続け、インスタグラムのフォロワー数は170万人を超えている。2017年のNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックを担当した。中国や台湾でも人気が高く、個展を開催すれば12万人が来場。テレビドラマやCMにも起用され活躍の場を広げている。
クロワッサンを雲に見立てた「クモワッサン」、コッペパンを新幹線に見立てた「新パン線」など、作品はユーモアセンス抜群だ。田中は自らを「見立て作家」と語る。その独特な世界観と発想はどうやって生まれているのか。作品制作の舞台裏にドキュメンタリー番組「情熱大陸」が密着し、その着想のヒントを探った。
「真面目にバカバカしいことをするのが大事」
鹿児島県にある自宅兼工房で、妻と2人の息子と暮らす田中。毎日必ず1つ作品を作り上げて撮影し、自身のSNSに投稿するのが日課だ。自宅の1室には食品サンプルや雑貨など、無数の小道具、そして約1.5cm大のドイツ製ジオラマ人形約2万体がある。これらをどう配置するかで物語が生まれるのだ。
例えば、蚊取り線香を西洋の庭園に見立てた。「デートはキンチョウする」と、粋なタイトルだ。洗濯バサミを飛び込み台に、タオルをプールに見立てた作品のタイトルは、「干されないように頑張れ!」。日常にあふれる「何か」を「別の何か」に見立てて作った作品の数は、これまで3000点に及ぶ。
田中は、自身の職業を“見立て作家”と語る。
【田中】「真面目にバカバカしいことをするというのが大事です」
毎日インスタグラムに投稿し続けたところ、口コミで人気が広がった。最近ではテレビドラマのタイトルバックやCM、ベストセラー作家の装丁にも起用され、活躍の場を広げている。