尊敬語、謙譲語は不要だが「お母さん」「お父さん」はNG
つづいて、面接試験の際のことば遣いはどのようにすればよいのだろうか。
面接試験では、どうしても子に正しい敬語を使わせねばと力んでしまいがちだが、その必要はない。教員たちは受験生に「尊敬語」「謙譲語」を使いこなす能力は求めていない。下手に訓練すれば、敬語を意識しすぎて、肝心の回答が支離滅裂になってしまう恐れがある。
中学入試の面接では、「~です」「~ます」の丁寧語を用いれば十分。ただし、一部注意しなければならない言葉遣いもあるので、それを下に列挙したい。
1.身内の呼び捨て(謙譲語)
「お母さん」× → 「母」○
「お父さん」× → 「父」○
「おばあちゃん」× → 「祖母」○
「おじいちゃん」× → 「祖父」○
2.一人称のことば
男の子 「ぼく」○、「私」△、「俺」×
女の子 「わたし」○、「あたし」×
3.話し方について
質問されたら、必ず「はい」と大きな声で返事をする。その上で、質問に対してハキハキと答えることが必要。気をつけるべきは「回答内容の一文を短くする」こと。「~で、~で、~で、~です」などとダラダラ話してしまわないように気をつけたい。
面接頻出質問「良い回答例・悪い回答例」
それでは、面接試験で頻出の「3つの質問」と回答例を紹介しよう。
(1)自宅から学校までの通学路を教えてください。
(例.自宅最寄りの「自由が丘駅」から「半蔵門駅」が最寄りの学校へ行く場合)
《悪い回答例》
「自由が丘駅から電車で渋谷まで行きます。乗り換えて半蔵門駅まで行きます」
《良い回答例》
「はい。自宅から最寄りの自由が丘駅まで徒歩5分です。そこから東急東横線で渋谷駅まで約12分かかります。渋谷駅から東京メトロ半蔵門線に乗り換えて半蔵門駅まで約8分です。半蔵門駅から○○中学校まで徒歩約3分です。乗り換え時間を含めると、自宅から学校までの所要時間は約35分です」
→なるべく具体的に回答できるかがポイント。以前、ある学校の先生からこんな話を聞いた。「通学路を聞く理由は、その子が親に依存していないかどうかを試すため。親に依存しきってしまっている子どもはどこへ行くにも親に『連れられて』いるだけ。そうなってしまうと、駅名や路線名など容易に答えることはできないはず」