総務省の家計調査報告によると、高齢者夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の1カ月の平均支出は約26万円。対して1カ月の年金平均支給額は約22万円。基本生活費の不足は月4万円程度です。前述のトンチン年金に加入して総額約1219万円の保険料を払い込めば、100歳、120歳まで生きても、月に5万円入るので、不足分を賄えます。保険契約者が20年以内に亡くなると元がとれずに損だという意見もありますが、老後資金づくりを損得だけで考えるのは適当ではありません。死んでしまえばお金は必要ないと割り切りましょう。

理想をいえば、基本生活費の不足部分をトンチン年金で確保したら、ゆとり資金の部分をつみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)で税優遇を受けながら、分散投資で継続的に準備すること。探せば低リスクで投資妙味のある商品は必ずあります。一攫千金など論外、確実にコツコツと資産を増やしていくといいでしょう。

深野康彦(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。マネー商品全般、資産形成、資産運用に詳しい。著書に『55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣』など。
 
(構成=高橋晴美)
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