持株会社の場合、グループを統括する管理部門の社員などが在籍していることが多く、平均年収額が高くなりやすい。たとえば、1位になったドラッグストアチェーンのクリエイトSDHDの場合、売上規模は業界トップのウエルシアHDの4割弱だ。だが社員全員が子会社のクリエイトエス・ディーからの出向者。持株会社から10%程度の上乗せがあるため、平均額は前年度989万円から90万円以上アップし、「小売業」では唯一1000万円台に乗った。

2位のユナイテッド・スーパーマーケットHDはマルエツなどが、5位のアクシアルリテイリングは新潟が拠点の原信などの持株会社。事業会社のマルエツとして開示していた当時の平均年収は、600万円台だった。

ファーストリテイリングも平均年収1000万円台に届かず

カジュアル衣料品販売世界3位のファーストリテイリングは今回の調査後に、2018年8月期の数値を開示している。平均年収は前年度の791万円からおよそ86万円アップの877万円だった。業績を拡大し売上高は2兆円を突破しているが、平均勤続年数が短いこともあり平均額が1000万円には届かない状態が続いている。

国内流通トップのイオンは800万円前後、イオンに次ぐセブン&アイHDは710万円台で推移している。

過去からの経緯は、百貨店の高島屋が参考になる。大型のM&A(合併・買収)やグループ再編がないことから、数値に継続性があるからだ。

・2001年度:平均年収647.0万円、従業員数9462人、平均年齢41.5歳、平均勤続年数20.6年
・2011年度:平均年収636.3万円、従業員数7858人、平均年齢43.8歳、平均勤続年数22.1年
・2017年度:平均年収669.6万円、従業員数4801人、平均年齢46.3歳、平均勤続年数23.3年

給与水準はほぼ平行線。従業員数は大幅に減少しており、平均年齢と平均勤続年数は高くなっている。