他人の心を読み取る能力を「心の理論」という。脳の中では、前頭葉にある「ミラーニューロン」(鏡のように他人と自分を映し合う神経細胞)などによって支えられている。
他人がどのように思っているか、どう感じているかを読み取る能力がある人のほうが人気がある。自分勝手だったり、他人の気持ちをくみ取らないような人は人気がない。
坂本龍馬には、維新の大望があった。しかし、それがために他人を利用するといった冷たい人ではなかった。他人の気持ちを感じられる思いやりの精神があったからこそ、人気があったのである。
他人と自分の間の共感力も、人気の原動力となる。
坂本龍馬は、いろいろと弱点のある人だった。自分のダメなところを、隠さず見せた。だからこそ、他の人は共感して、ついて行こうと思った。坂本龍馬自身も、暗殺するつもりで訪れた勝海舟に感銘を受けて、その場で弟子入りを申し込むという共感力を見せた。
他人に対する思いやりや、共感力、そしてもちろん明確なヴィジョンと志。坂本龍馬は人気があったからこそ、歴史に大きな足跡を残せたのだ。
仕事をするうえで大切なものはいろいろあるが、「人気」もまた重要な資源の1つ。知識やスキルだけでなく、人間関係を育む大切さを坂本龍馬が教えてくれる。
(写真=amanaimages)