フリーWi‐Fiの登録が簡単

カフェ7社の自由意見で「Wi-Fi」のキーワードが最も多く記入されたのがベローチェである。記入内容をみると「無料のWi-Fiが利用できるようになった」「Wi-Fiが使える。静か」「Wi-Fiあり。充電できる店だった」といったコメントが並ぶ。ベローチェは、2017年11月から、Free Wi-Fiサービスを開始している。

ベローチェのWi-Fiで驚くべきは、その手続きの簡単さである。登録時にメール送信の必要がなく、しかも登録すべき項目は言語・性別・生年月日だけ。「velocewifi」というパスワードを入力すれば、1接続で最長60分、1日あたり6回まで利用が可能であり、ベローチェの他の店舗でも再登録を行わずに利用できる。

また、約170店舗のうち、約100店舗を東京都内にドミナント出店するベローチェは、2020年の東京オリンピック開催による訪日外国人の利用増加を想定し、12言語の登録画面も設けている。鉄道・バス・飛行機・空港などの交通機関や、コンビニ等の商業施設では、利用するたびに、メールアドレスの入力が必要なフリーWi-Fiが多いなか、ベローチェのような手間いらずのWi-Fiは便利である。

多目的の「関連購買」や「頻度拡大」といったロイヤルティ評価の向上は、ドリンク・フードといった「モノ」のみならず、Wi-Fi利用といった「コト」も一因となっている。

「低価格コーヒー+モノ+コト」が奏功

「飲み物がリーズナブル、Wi-Fiが使える、黒猫のキャラクターの小物がレシートで引き換えられるなど、飽きさせない工夫をしている、たまに新しいメニューも出てくる(埼玉在住・50代・女性)」という利用者コメントがある。

これまでの強みであったコーヒーの安さや完全分煙の強化に加え、フードメニューの充実、オリジナリティーある販促企画、使い勝手の良いフリーWi-Fiといった、商品(モノ)とサービス(コト)の両面での取り組みがベローチェは評価されているのだ。

30業種以上を調査しているJCSIのなかで、上位から下位までの得点差が極めて小さいのがカフェである。顧客満足とロイヤルティの1位を連覇できるか、今後のベローチェに注目したい。

小倉 高宏(こくら・たかひろ)
日本生産性本部 主任経営コンサルタント
コープこうべに入社1年目で営業所トップ成績、2年目で全営業所およそ1000人中トップ成績を誇ったカリスマ営業マン。2008年から現職。小売・サービス業の現場に明るく、市場分析や経営指導、従業員育成を行っている。関西大学社会学部卒、関西学院大学大学院経営戦略研究科修了(経営管理修士:MBA)。著書に『経営コンサルティング・ノウハウ 5 マーケティング』(中央経済社)。
(写真=iStock.com)
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