医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第7回は「生活習慣」について――。(第7回、全11回)
健康寿命は、心の問題が大きい
94歳の現役パイロット・高橋淳氏をご存じだろうか。70年以上飛行機に乗り続け、“世界最高齢パイロット”としてギネスにも認定。90歳を超えても新富士の飛行場を拠点に飛び回っている。その健康な体を支えるのが日々の食事だ。高橋さんは、ほぼ毎日同じ献立で決まった時間に食事を摂る。表を見てほしい。一見、普通の食事のようだが、この献立の中に「90歳を超えても病気知らず」の秘密が隠されているという。糖尿病など生活習慣病の食事療法を専門とする中島茂医師もこのメニューを絶賛する。
「まずバランスがいい。一日の食事の中で、肉・野菜・豆・果物・穀物をそれぞれ少しずつ摂取しています。数種類の野菜を摂ることで食物繊維やビタミン、酵素を摂取できるので、血糖値も上がりづらいし、消化の助けにもなります」
意外なのが肉。高橋さんは毎日、夕食に50グラムのステーキ肉を食す。肉好きといえばもう1人、95歳の現役ピアニスト、室井摩耶子さんも有名だ。彼女は80グラムのヒレステーキをはじめ、トンカツ、鶏鍋と毎日いろいろな肉を食べているという。
「肉を食べる人は、高齢でも元気な人が多い。年をとると筋肉の量が減少するため運動が大事ですが、タンパク質がなくては運動しても筋肉は増えません。骨をつくるカルシウムの吸収にもタンパク質が必要です。肉を摂ることで骨粗しょう症防止にもなります」(中島氏、以下同)