日本では女子の「自己肯定感」が低い。このため共学校では好きな人にかわいく見られるために、彼氏より上の成績を取ってはいけないという意識が働くことがあるという。東京都世田谷区の名門女子校「鴎友学園」の吉野明名誉校長は「女の子は過剰に空気を読むところがあるので、自己肯定感をつける教育が必要だ」と説く――。

※本稿は、吉野明『女の子の「自己肯定感」を高める育て方』(実務教育出版)のCHAPTER2「知っておきたい女の子の特性」の一部を再編集したものです。

他の人の主張にも配慮しながら、自分の意見をしっかり発言できる子に育てるには――。(※写真はイメージです・写真=iStock.com/Stígur Már Karlsson /Heimsmyndir)

反射的に「だよね~」と同調する女子

ヨコ並びを重んじる女の子たちは、過剰に空気を読み合っている部分があります。男性の私から見ると、なかなか大変そうに思うものですが、これを自然にしている子も多いですから、それほど心配するほどのことではないのかもしれません。

実際にある中学生の女の子は、「同調するのが苦痛と感じたことなんてない。だって当たり前だから。『これ、かわいいよね』と友達が言ったら、『そうだね~』と答えるのは反射みたいなもので、自分の中で「かわいいか、かわいくないか」なんて考えもしない。だから本心と違うことを言っている、という苦しさもない」と言っていました。

とはいえ、中には同調行動を強要されていることを苦痛に感じる子もいます。本当は1人で本を読んでいたいけど、お友達とのおしゃべりに参加する。家でのんびりしたいけど、誘われたから遊びに出かける。自分の意見を押し殺して、相手に同意ばかりしていることもあるでしょう。「わかる~」「だよね~」が女の子の口癖というのには、同調を常に求められるという背景があるのです。

家庭の中ではせめて、このような不満のはけ口として話を聞いてあげてほしいと思います。話すだけでスッキリするということもありますから、「そうだよね」「大変だよね」と受け止めてあげてください。これは大きく見れば、日本社会全体の問題とも考えられます。同調行動というのは、日本社会において強い圧力だからです。もしかすると同調することに疲れているのは、親御さんも一緒かもしれませんね。