23歳で岡田屋の当主になってすぐに店の経営を掌握

持ち前の気性の強さは、子供のころかららしい。

小嶋が美術館を開館してから間のないころ、美術館の一部土地の所有者であったC氏が亡くなり、小嶋の代理で葬儀に行くことになった。その際、小嶋が「Cさんの家には以前、観音さんがあってな。子供のころ番頭さんに連れられて、癇封じに行ったことがあるんや」というので、私はすぐさま「その観音さんは効き目がなかったんですね」と突っ込んだことがある。

子供のころから負けずきらいで、よく勉強も運動もできたと聞く。23歳で岡田屋の当主になってからすぐに店の経営を掌握したのも理解できる。

知と情がしっかりと織り交ぜられ、情に流されない理性、実戦で検証した知、たった一人でも戦う勇気、いずれも男より勝る。

この激しい小嶋の気性、もって生まれた知性、深く広い知識、そして人間愛をもってして、人づくりのジャスコ、ジャスコに小嶋ありと同業他社に言わしめた。ジャスコの小嶋千鶴子といえば、小売業の指導者として知られる渥美俊一先生でさえ一目おいたのである。

他の人から小嶋さんに対して「岡田卓也さんのお姉さんですね」と言われると、笑いながら「私の弟が岡田卓也です」と応えることもあった。

小嶋千鶴子あっての岡田卓也、小嶋千鶴子あってのイオンなのである。

東海友和(とうかい・ともかず)
東和コンサルティング 代表
三重県生まれ。岡田屋(現イオン株式会社)にて人事教育を中心に総務・営業・店舗開発・新規事業・経営監査などを経て、創業者小嶋千鶴子氏の私設美術館の設立にかかわる。美術館の運営責任者として数々の企画展をプロデュース、後に公益財団法人岡田文化財団の事務局長を務める。その後独立して現在、株式会社東和コンサルティングの代表取締役、公益法人・一般企業のマネジメントと人と組織を中心にコンサル活動をしている。
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