全体を俯瞰できる人に情報と仕事は集まる

内永さんが実践してきた「どんな仕事に関しても、全体像をつかむ」ことは、さまざまな国籍の人と仕事をする機会の多いIBMでは必然の方法だったのかもしれない。

「昔の日本では、阿吽の呼吸、腹でわかってほしい、などと言われてきた。でも今後、多様な人材の登用がさらに進み、文化や言語などバックグラウンドが異なる人と仕事をする機会も増えるでしょう。また、ソフトウエアのように、目に見えないモノを扱うことも多くなる。そういうとき、『全体像』をつかむことは、相手から教わるための第一条件になると思います」

全体を俯瞰できる人のところに、情報も仕事も集まってくる。内永さんが上司から信頼され、次々とより大きな仕事を与えられてきたのも、全体像をとらえる努力を繰り返すうち、自然と経営者の視点に立って考える癖がついていたからなのだろう。

(澁谷高晴=撮影)