女性社長 営業200人の日報に「にこにこスタンプ」

いま、営業スタッフは200人ほどですが、私は全員の日報に目を通します。手の空いたときや移動中、あるいは夜中にiPadで確認。よい報告には「拍手!」をし、私の笑顔をイラストにした「にこにこスタンプ」を押します(笑)。現場で働くスタッフは、これによって自分の仕事を社長が見ていることがわかります。そのことでモチベーションがアップすれば嬉しい。ユニークなアイデアや成功実績には、上司や仲間からも「拍手!」やメッセージが送られます。

(上)ヒット商品の企画書には何が書いてあるか(中)「日報」で店頭陳列の情報共有をする(下)「日報」の社長のスタンプ

私がエステーに入社した8年前の営業日報はそうではありませんでした。営業担当者が取引先と商談をして、成立すればそれを報告して終わりでした。しかし私は、それだけではなく、売り場づくりが効果的に実現できているかどうかがポイントだと考えました。

例えば「モコ泡わ」であれば、陳列の成功実績を写真付きで営業日報にアップする。店頭における陳列の狙いと実際の成果がひと目で理解できます。担当者も適切な感想や提案も得られ、次の機会にはよりインパクトのある売り場になるでしょう。

その意味では、営業日報は社員同士が褒め合い、成功事例を真似るためのツールであるということもできます。現場での成功がリアルタイムに示されているのですから、それを参考にすればいい。そうすれば、ナレッジやノウハウも分かち合うことになります。

当社では「全員経営」を目指してきました。自分が担当している分野が、会社の業績にどれだけ貢献できているのかを知るうえでも、営業日報の情報共有は貴重といえます。そして、目標達成に皆が前向きになれば会社は強くなるのです。

鈴木貴子(すずき・たかこ)
エステー社長
1962年、東京都生まれ。84年、上智大学外国語学部卒業後、日産自動車に入社。LVJ(ルイ・ヴィトン・ジャパン)グループ(現LVMHグループ)などを経て、2010年にエステー入社。執行役などを経て、13年から現職。
(構成=岡村繁雄 撮影=小野さやか)
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