ターゲットは「主婦」ではなく「ブラシ掃除が億劫な人」
この「モコ泡わ」の場合、ターゲットは「主婦」といった漠然としたものではなく、「日々のトイレのブラシ掃除が億劫な人」「現在あるトイレの泡クリーナーに不満を持っている人」です。当然、男性も含まれます。実際に使う場面については、「便器の中をぐる~っと一周スプレーするだけで、濃密・密着泡が、フチ裏から便器全体を洗浄。ゴシゴシこすらなくても、便器がキラリ」というところまで書いてあれば満点です。
なかでも、価値の提供はとても大切です。私は、エステーに入社する前に外資系高級ブランド会社に在籍していました。高級ブランドのバッグはとても高価なのに、お客様は喜んで買ってくれるのです。そのバッグを持つことで得られる満足感を体験しているからにほかなりません。価格的に「モコ泡わ」は、従来のトイレクリーナーよりも高めですが、おそらく実際に使った消費者は、モコモコ泡の楽しさでリピーターになってくれることでしょう。
それから、企画書ではコンセプトはひとつの言葉に絞るべきです。今回は「泡がお掃除してくれる楽しさ」です。その後に示されたパッケージデザインも、使用シーンをうまくビジュアル化できました。この時点でヒットが約束されたといっても過言ではありません。
もちろん、どんなにすぐれた新商品であっても、きめこまかな販促と営業活動が展開できなければ、せっかくの商品も在庫の山になってしまいます。ヒット商品に成長させるには、市場投入と同時に登場感を演出し、消費者に認知していただき、購買につなげていく必要があります。
営業日報は、褒め合い、成功事例を真似るツール
その際に不可欠なのが、マーケット情報や成功体験を社内で共有すること。当社の営業日報は、そのためのコミュニケーションツールです。社内のネットワークにフォーマットがあり、そこに日々の予定や実績、意見などを書き込んでいきます。他の社員がコメントをつけたり、「拍手!」をつけることもできます。