2018年6月、レシートを1枚10円で買い取るサービスを開始したワンファイナンシャル。経営者は、12歳で国際プログラミングコンテストで最優秀賞を獲得した高校生だ。新しい金融の仕組みをつくりたいと語る17歳の未来予想図とは――。

「レシートのデータを価値に変える」という発想

【田原】山内さんのワンファイナンシャルは、2018年6月12日にレシート画像を1枚10円で買い取るサービス「ONE」を開始された。しかしお客さんが殺到して、その日のうちにサービスを停止。ネットではずいぶんと話題になっていたようですね。そもそもこれはどういうサービスだったのですか?

【山内】レシートには、さまざまな情報が載っています。何月何日何時何分に、どこのお店で、何をいくらで買ったのか。これらをデータ化すると、いろんなところに使えます。その情報を集めるために、レシート画像を買い取るアプリをつくりました。

【田原】データはどう使うの?

【山内】ネット上のお店でものを買うと、「こんな商品も買いませんか」と出てきますよね。あのレコメンドは、ある商品とある商品を一緒に買った人が過去にどれくらいいるかをデータ化しているので可能になります。レシート上の情報がデータ化されたら、それと同じことがリアルでもできる。たとえばレシートを分析した結果、トマトとレタスを一緒に買っている人が多ければ、トマトの横にレタスを置けばもっと売れるようになるかもしれないという具合ですね。

【田原】山内さんが買い取ったレシート画像をデータにして、それをまた小売店が売り場づくりのために買うわけだ。

【山内】小売りだけではありません。たとえばメーカーが「いま10代の女の子は何を買っているのか」という市場調査に利用してもいい。顧客には、さまざまな事業者を想定しています。

【田原】でも、レシートには年齢とか性別は載ってないよね?

【山内】買い取りの登録してもらうときに、それらの情報は入力してもらうので大丈夫です。

【田原】そもそもお店側にPOSデータがあります。メーカーは、レシート情報を買わなくても、コンビニやスーパーからPOSデータを買えばいいんじゃないですか?

【山内】実際に買っている事業者はいます。ただ、POSデータは、お店の人がお客さんの年齢などを入力するから、必ずしも正確じゃないんです。あと、Tポイントのようなサービスも、加盟店で買い物したときのデータしか取れない。あるユーザーの購買行動を広く正確に把握できるのはレシートだと思います。