中1の時、小学生・幼稚園児向けのプログラミング教室を開始
【田原】中学では、何をしていたのですか。
【山内】中学1年生のときに「It is IT(イットイズアイティー)」という団体をつくって、小学生や幼稚園児にプログラミングを教える活動をしていました。保健室登校だった僕が教室に行けるようになったのは、プログラミングやインターネットに出合ってITの魅力を知ったから。それこそがITなんだという意味を込めて、そういう名前にしました。具体的には、スクラッチというプログラミングキットを使って子ども向けのワークショップをやって、ゲームのつくり方を教えていました。やめるまでに、トータルで600人くらい教えましたね。
【田原】山内さんお一人で?
【山内】いや、僕の同級生も巻き込んで。10人くらいいたかな。
【田原】場所はどうしたんですか。
【山内】どこかで定期的に開催するのではなく、小さい子ども向けのイベントに参加したり、学校に呼ばれて開催していたので、僕らが場所を用意する必要はなくて、行って教えただけでした。
【田原】それにしてもすごい。中学1年生でしょ。交渉も自分でやったの?
【山内】はい。イベントの主催者とか教育系の会社に話に行きましたけど、普通に聞いてくれましたよ。
【田原】いつまでやっていたのですか。
【山内】中学1年生の4月からはじめて、2年生の3月までやっていました。やめたのは、このまま続けても、プログラマーを目指そうという子どもは増えないなと。イベントに来ると「わあ、楽しい」と言ってくれるんですが、そこで終わり。そうなってしまうのは、プログラマーとしてキャリアをはじめて成功した人が日本にいないから。ロールモデルがないから、プログラマーが将来なりたい職業にならないんです。それなら自分がそのロールモデルになってやろうと。
【田原】どうして日本には成功したプログラマーがいないんだろう。
【山内】うーん、プログラマー以前に、成功しているIT企業が少ないですからね。
【田原】トヨタ、パナソニックなどのメインの研究所はシリコンバレーです。なぜかと言うと、スタンフォードの研究者は日本に来てくれないからだそう。裏を返すと、日本の大学が世界レベルのプログラマーを輩出できていないから、メーカーはシリコンバレーに行くんですね。世界大学ランキングでも、18年は東大が46位、京大が74位になっている。そこに問題があるんじゃないかな。
【山内】シリコンバレーやイギリスには行ったことがあるのですが、日本の大学生は勉強量が圧倒的に足りていないですよね。アメリカは入学が簡単ですが、卒業するのが難しいから、むちゃくちゃ勉強します。でも日本は逆で、入学が難しいから高校生のときにむちゃくちゃ勉強して、入学後は遊んでしまう。そこから変えないといけないのかもしれない。