ネクタイも紐も靴下も「グリーン」で統一

率先して恥をかくのは、もちろん厚顔無恥に振る舞うことではありません。私は初対面の方に会う前は、相当に準備していきます。著書がある方なら、重要な部分を記憶するぐらい読み込んでいきます。そして実際に会ってみて、その方がすすめてくれたものは何でも実践してみます。おすすめの本を読み、おすすめのお店に足を運びます。

たとえばグロービス経営大学院学長の堀義人さんからは「経営者なら囲碁をやりなさい」とすすめられて、3年前のクリスマスイブに東京・麹町の「ダイヤモンド囲碁サロン」で手ほどきを受けました。それから囲碁が面白くなって、棋士と人工知能が対局したニュースに熱中するなど、世界が広がりました。

三菱ケミカルホールディングス会長で経済同友会代表幹事の小林喜光さんからは、留学時にイスラエルで経営を学んだという話を聞いていました。それで私も「いつかイスラエルに行こう」と決めていて、2016年、実際にイスラエルに行ったのです。幸いにも現地での様子が雑誌で取り上げられ、それを見た小林さんから手紙が届きました。「イスラエルのことを覚えていて、現地で学んできてくれたのは本当に嬉しい。今度イスラエルの話をしよう。ベンチャー頑張れ」と。私にとってこんなに嬉しくて、学びになることはありません。

尊敬する人から何かすすめられたときは、食わず嫌いで聞き流すのではなく、必ず実践する。なかには「そんなこと言ったっけ」と忘れている人もいますが、それぐらい些細なことでも私が実践したと知ればとても喜ばれ、信頼関係は深まります。これも細部を大切にすることなのです。

自分から率先して恥をかくことで懐に飛び込み、相手の話を真摯に受け止めて自分のものにする。そうすれば本当の味方、本当の仲間はどんどん増えていくと思います。

▼出雲社長のマナー5
1 会話で「聞く」と「話す」の比率は?

5対5
2 社内・社外の会食の頻度は?
社内:月2回 社外:月8回
3 定番にしている手土産は?
基本的になし。たまにミドリムシ商品を渡す
4 ビジネスファッションのこだわりは?
ネクタイ、靴紐、靴下はグリーン
5 会食のお礼は「メール」「手紙」「電話」のどれか?
手紙
出雲 充(いずも・みつる)
ユーグレナ社長
1980年、広島県生まれ。東京大学農学部卒業後、東京三菱銀行(当時)に入行。2005年、ユーグレナ創業。同年12月には世界ではじめてミドリムシの屋外大量培養に成功。12年、世界経済フォーラム「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出。15年、第1回日本ベンチャー大賞にて「内閣総理大臣賞」受賞。
(構成=Top Communication 撮影=三浦咲恵)
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