「おっさんジャパン」の対戦経験は好材料

ベルギーの強さが「半端ない」ことは、すでに多くのメデイアで報じられている。その一方で、日本に有利に働く材料を意識的に取り上げてみたい。

例えば、あちらが比較的相手に恵まれたグループステージで、苦しい、厳しい戦いをしていないことは、日本にとって追い風だろう。過去の大会では、楽々と決勝トーナメントに勝ち上がった国が、1回戦で格下に足をすくわれるケースが何度もあった。

また、日本の多くの選手はテストマッチながら、ベルギーと過去に2度対戦している。戦績は1勝1敗。相手はベストメンバーではなかったにしても、未知の脅威や過剰な恐れを抱く必要がない。このあたりも、平均年齢が高めな『おっさんジャパン』の強みだろう。

4年前と違い、今大会のベルギーはアタック陣に有能なタレントをてんこ盛りにしたオフェンス志向の強いチームだ。守りに回る時間が長引くほど、ストレスを溜め込み、イライラを募らせるだろう。

日本は、コロンビア戦の後半やセネガル戦のように、ていねいにパスをつなぐ粘っこいポゼッション(ボールキープ)を実践できるかどうか。もちろん、パスワークの乱れを突かれて速攻を浴びれば、ひとたまりもない。ベルギーと正面から激しくやり合ったチュニジアは、その結果、好勝負になりかけていた試合を台なしにしている。

ベルギーが最も嫌なのは「強気の姿勢」

そうかと言って、リスクを恐れたら、勝機は見えてこない。「絶対に負けられない」というリスクを抱えているのはベルギーのほうなのだから、勇気をもってチャレンジすべきだろう。そうした強気の姿勢こそ、ベルギーが最も嫌がることではないか。

今大会で初めて3バック(3−4−2−1)の相手と戦うという意味では、誰が、どこで、どう守るか、という調整は必要だが、そのあたりは抜かりがないはずだ。また、今大会から延長に突入すると、4枚目のカードが使えるため、ベンチワーク(選手交代策)も微妙に変わってくるが、指揮官にとっては望むところだろう。

少なくとも、決断をためらい、勝機を逸するようなことはない——と期待する。そもそも、この決戦のために、一か八かの危ない橋を渡ってきたのだから、いまさら怖気づく道理はないだろう。これまでどおりに戦って、あとは天命を待つだけだ。

北條 聡(ほうじょう・さとし)
サッカーライター
1968年生まれ、早稲田大学卒業。1993年にベースボール・マガジン社に入社し、ワールドサッカーマガジン編集長、週刊サッカーマガジン編集長を歴任。現在はフリーランスとして、サッカーライター、サッカー解説者として活動中。近著に『サッカーは5で考える ――可変システムがわかれば試合が10倍面白くなる!』(プレジデント社)があるほか、『サッカー日本代表 勝つ準備』(共著、日本実業出版社)、『サカマガイズム』(ベースボール・マガジン社)、『正しいバルサの目指し方(サカマガトークJAM)』(共著・ベースボール・マガジン社)など著書多数。