とくに、牛丼御三家のなかでも最古参で“牛丼ブランド”が強く、従来のスタイルを取り続ける吉野家は、収益性が最も低くダメージが大きい。すき家は電子マネーを浸透させセットメニューを改良して収益性を高めようとしている。松屋はITを導入して業務効率を上げながら牛丼業態では定食を強化、とんかつ業態「松のや」を積極的に出店するなど、“定食・とんかつ効果”で利益を押し上げる。
だが、バランスシート(BS)に目をやると、ほぼ実質無借金の吉野家HDは財務的には余力があり、必ずしも値上げをして利益を確保しにいく必要性はない。次の潮目は19年10月に予定されている消費税改定の時期。それまで吉野家は、外的要因の変化を待つか、新たに収益性を高める商品を仕込もうと割り切っているとも見て取れる。
(構成=栗田シメイ 写真=iStock.com)