20、30代でためた“毒”が40、50代で病気を引き起こす

日本人は男性だけでなく、女性も仕事と家庭の両方をうまくやらねばならないという“成功プレッシャー”がそもそも強すぎるのではないかと感じます。「自分を許す」という気持ちを持たないと、ちょっとしたことですぐに心が折れ、クヨクヨする体質になってしまいます。

人生100年と言われる時代。70代以上になっても働かなければいけなくなるかもしれません。であれば、若いうちから自分に鞭を打ちすぎて心身を消耗させることは、「長く働く」ことを不可能にしてしまうリスクがあるとも言えます。

20、30代の若いうちは無理がききます。でも過剰な仕事のストレスやネガティブな発想は、体内に“毒”のようなものを溜め込んでしまい、40、50代以降に病気として“発症”することもあるのです。

そこで求められるのは、ミス・失敗をいい経験にしていこうというポジティブな発想の転換。ただでさえ、ブラックな職場環境の企業が多いと言われる日本です。過剰に真面目になりネガティブになっていては身がもちません。

働くうえで、心の環境を保つための簡単なマネジメント法があります。それは、愚痴もこぼせる同僚や友人、家族などを持つことです。「失敗しちゃって……」と話すことで少し気持ちが楽になる。アドバイスももらえるかもしれない。ひとりで抱え込まずにすむ、人とのつながりを充実させることがイザというときの自分の支えとなり、人生をポジティブなものにしてくれるのです。

浦上ヤクリン
心理学博士

東京工業大学工学部経営工学系助教。専攻は心理学・人間工学。ドイツ出身。米国へ交換留学、英国でインターンを経験、2002年シェムニッツ工業大学で博士号取得、同大学で准教授。03年来日し、複数の私立大学で非常勤講師を務めた後、現職。

 
(文=大塚常好 撮影=キッチンミノル)
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