数分の遅延でも許されない日本の鉄道の「異常」

例えば、何かのパーティー。日本では、始まりと終わりの時間があらかじめ決まっていることがよくありますが、海外ではそうした例はあまり聞いたことがありません。

また、日本の鉄道はたった数分の遅延でも許されない緊張感があります。時間を守ることにとても厳しい。こうした100%安全確実を目指す社会の中で暮らすことにより、失敗やミスはいけないことだという意識が個人の中にも深く定着しているのではないでしょうか。

心理学の研究では、不確実性を極度に回避したがる人、または不確実性への許容度の低い人は、うつや不安になりやすいと言われています。よって、自分がしてしまったミスを過剰に受けとめ、激しく自己嫌悪することでメンタルヘルス上の問題を抱えてしまうケースもあります。

好むと好まざるとにかかわらず「不確実性の回避」という文化にどっぷり浸かっているからこそ、前述したポジティブなものごとの捉え方が必要になってくるのです。

外国人の私から見てもうひとつ思うのは日本人には「完璧主義者」が多いということです。仕事の面でも、常に100点を目指して頑張る人が多いのではないでしょうか。満点を取れない自分がダメだという減点主義的な思考はまさにネガティブ発想。

全力投球で仕事をするのは素晴らしいことです。しかし、どんな仕事に対してもフルパワーで臨むのは、かえってリスクを伴います。仕事が重なって忙しいとき、タイムプレッシャー(締め切り時間)があるとき、人はミスを犯しやすい。一切の手抜きをしないで自分を追い込むようなワークスタイルであれば、そのストレスの蓄積でいつかバーンアウトしたり、大きなミスを犯してしまったりするかもしれません。

例えば、どのプレゼンテーションでも資料作成で100点満点を目指す。女性が自分の仕事と家事・育児を両立させようと大車輪で働く。

そうした理想を掲げるのはいいのですが、無理がたたって燃え尽きてしまったら元も子もない。「ほどよく力を入れていく」「最初は完璧ではなく、まずは及第点を目指す」。そんな大人のゆとりを持って、仕事に“緩急”をつけることが自分を潰さないコツかもしれません。