(1)プロセスに焦点をあてる

2度目の取り組みは、「企業プロセス・モデル」──価値を創造する一連のプロセスという観点から企業の業務をまとめたもの──を作成することから始まった。シュナイダーのモデルは、輸送ソリューションの開発、新規業務の獲得、輸送注文の獲得、積荷の運送、積荷運送能力の提供という5つのプロセスで構成されていた。これら少数のプロセスに、シュナイダーの数千人の従業員が行っている事実上すべての仕事が含まれていた。シュナイダーは、新規業務獲得プロセスを定義し、その境界を明確にし、その測定基準を定め、それを改善対象とすることによって、解決すべき問題を正しく浮かび上がらせることに成功した。

ほとんどの企業が業務革新の範囲を狭く絞りすぎ、そのため漸進的な改善しか達成できていない。

(2)プロセス・オーナー

大きな成果を挙げるためには、組織のいくつもの部門で改革が必要になる。だが、各部門──およびそのマネジャー──には、それぞれの課題や目標、測定基準があるため、大きな改革をめざす活動は、概してさまざまな縄張り意識や惰性、抵抗といった障害にぶつかることになる。プロセス・オーナーとは、そのプロセスに必要な改革を企業全体に実行させる権限を持つ上級幹部のことだ。シュナイダーは自社のプロセスのそれぞれにプロセス・オーナーを任命し、新規業務獲得のプロセス・オーナーが中心となって、販売チャンスを獲得する新しい方法の開発と実行を進めていった。

(3)フルタイムの設計チーム

1度目には、新しいプロセスの開発に関わっていた人たち自身がパートタイム・ベースでこの活動を行っており、概して週に8時間足らずしかこの活動に従事していなかった。2度目には、このプロジェクトが彼らの唯一の仕事になった。プロセス再設計のチームにパートタイム・ベースで任命されたのでは、いらいらが募る。時間のやりくりが大変だし、チームのメンバーの正規の仕事で緊急事態が発生することも避けられない。また、限られた資源しか投入されないとなると、組織は経営陣の真剣さを疑うことになりがちだ。シュナイダーはプロセスの再設計を真剣なプロジェクトとして扱い、チーム・メンバーの教育に投資して彼らにきちんとした方法論を持たせ、プログラム開発室で彼らをバックアップした。ほとんどのチーム・メンバーが15カ月から2年にわたり、このプロジェクトに留まった。