11■ウソをついてでも会おうとする“名刺ください”営業マン
人材採用や教育研修関連の業界は急成長分野だけにエグい営業も跋扈しているようだ。スリーエフの向井氏が続ける。
「『他社の情報がほしい』といったら、電話口では『事例を紹介する』というので来てもらったら、そんな情報はなし。逆に『他社はやっていますよ、取り残されますよ』と脅して会おうとしたりもする。どちらも、アポをとるためのウソでした。そんなケースが多い」
偽装アポとりにはこんなケースもあった。流通企業広告部のC部長が話す。
「専門誌の広告営業マンが『編集長を連れていきます』というので会ったら、『急に来られなくなりました』と編集長の名前入りの印刷された手紙をもってきた。同じ手口で2度やられました。
アポとりの数がノルマになっている会社もあるようで、営業がウソをついてでもやってきて、やたら名刺をほしがる。名刺が足りないと、どこかのパーティに飛び込んで片っ端から名刺交換するようです。お笑いです」
12■提案書の宛名だけ変える“上書き”営業マン
スリーエフの向井氏は、一瞬目を疑うものを見ることもあるという。
「内容から見て、宛名の社名を変えただけと思われる提案書を平気でもってくる。明らかにパソコンで上書きした跡も残っている。そういう営業マンに限って、1時間の商談の大半は一方的な商品の売り込みばかりで辟易です。
一方、できる営業マンは1時間のうち30分以上、こちらの話を聞く。聞き方も上手で、イエスかノーで答えるしかないクローズドクエスチョンではなく、自由に答えられるオープンクエスチョンで質問しながら対話を広げていく。次第に人間関係も深まって、ときには厳しい意見をいわれることもあります」
パソコンの上書きを簡単に見破られる営業マンと、対話を深めて苦言もいえる営業マン。あなたはどちらだろうか。