17■現場に行かざる見ざる、聞かざるの“3ザル”営業マン

大和ハウス工業 購買部 集中購買1グループ長●<strong>杉浦雄一</strong>

大和ハウス工業 購買部 集中購買1グループ長●杉浦雄一

では、どうすればバイヤーに対し、同じベクトルをもった提案ができるのか。大和ハウスの杉浦氏が話す。

「よく提案していただける営業マンは、うちの工場や一般の建築現場に頻繁に足を運びます。例えば、『工場に伺ったら、合板の端材の山ができてましたけど、合板をもう少し大きめにつくったら端材は出ないはずで、うちにはつくれる設備があるんです』と提案されれば、『それやったら見に行こか』となって、その会社に切り替わる。当然、自分の会社の製造現場にも通い、技術にも詳しい。

できる営業マンは何よりも、部材がより使いやすいように、廃棄物ができるだけ出ないように、現場がより効率的に仕事ができるように……と、われわれと同じものを目指そうとする。だから、現場で見た光景をアイデアに結びつけることができるのです」

杉浦氏はある営業マンと一緒にその会社の下請けの工場へ出かけ、目の前で名刺交換が始まったのを見て、愕然としたという。現場知らずの営業マンは結局、カタログを口パクで読むことしかできない。現場での直観力とそれをアイデアに転換できる発想力の両方をもつ。それが “知的体育会系営業マン”の条件だ。

18■売れてホッとしてカメに抜かれる“ウサギ型”営業マン

売り手も買い手と同じものを目指す。営業マンにその意識が薄いとどうなるか。典型は「ウサギ型の営業マン」だと杉浦氏はいう。

「1度大きな契約がとれると、『決まってよかった』と気を抜いて動きが止まる。その間に他社はより新しい商材の開発を進めます。決まった契約のうえにあぐらをかいていると、ウサギとカメの世界になってしまう。

契約が決まったときがスタートで、すぐ次の新しい改善品に取り組めるかどうかが勝負です。単に契約がとれればいいのか、買い手とベクトルを合わせて常によりよいものを目指そうとするか。意識の違いが継続的に契約をとれる力の差になって表れるように思います」