日本企業が直面するリスクとは

ここで、日本企業が直面するリスクと対応を考えてみましょう。

すでにミャンマーに進出している企業、進出を検討している企業を問わず、対応しておかなくてはいけないポイントは、投資判断に必要な情報のうち、どの情報が収集でき、どの情報が収集できないかを明確にする仕組みを整備することです。さらに不確実な情報をもとにせざるをえない場合には、投資に関してどのような判断をするかを検討する仕組みを整備しておく必要があります。

すでに進出している企業にとっては、例えば、EU、米国等による経済制裁が復活した場合、現地に支出している日本企業においては、送金・為替の停止、通貨チャットの暴落、関税の大幅な引き上げ、輸出入の停止等のリスクが高まり、現地でのビジネスモデル自体が崩壊する可能性もあります。

また、国際社会と共に日本政府が、ミャンマー政府を非難した場合、ミャンマー一般国民の親日態度も大きく変化し、反日的な国民感情が醸成される可能性もあります。日本企業の海外進出は近年大きく拡大しているだけに、このような問題にも常に留意する姿勢が重要です。

茂木 寿(もてぎ・ひとし)
有限責任監査法人トーマツ ディレクター。有限責任監査法人トーマツにてリスクマネジメント、クライシスマネジメントに関わるコンサルティングに従事。専門分野は、カントリーリスク、海外事業展開支援、海外子会社のガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)体制構築等。これまでコンサルティングで携わった企業数は600社を越える。これまでに執筆した論文・著書等は200編以上。政府機関・公的機関の各種委員会(経済産業省・国土交通省・JETRO等)の委員を数多く務めている。
(写真=ロイター/アフロ)
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