インバウンド営業では地域がばらける傾向にあるため、A社ではインバウンド専門の営業マンと、アウトバウンド専門の営業マンとで業務分けをしている。インバウンドのスタッフには、あいた時間にタイムテーブルをつくるなど事務的な作業もさせた。タイムテーブルの組み方にも工夫がある。

「アポイントをとった企業と企業を訪問する間には当然、時間の隙間ができます。そこで合間に飛び込み営業ができるようにタイムテーブルを組むのです。例えば1時間あいていたら、その間10件は飛び込み営業をするよう指導しています」

1分の無駄もないとは、こういうことをいうのだろう。さらに長瀬氏は帰社した営業マンに、その日の成約数を踏まえ、有効面談率を高めるためのレビューを行っている。

「レビューでは、1日の行動量、訪問内容の報告を受けます。断られたところに対しては、どんな課題に対して、どんな提案をして、どう断られたのかをヒアリングします。そして、行動の阻害要因、失注要因を排除して、個人の営業力の標準化を図っていきました。また、このレビュー時のコミュニケーションを通じて、モチベーションマネジメントも行いました」

ほかにも、営業同行や、顧客が前にいると仮定したロールプレーイングで、営業マンのスキルチェックを行うなど様々な手法を用いている。

これと並行してインバウンド営業でも大きな成果を挙げた。経営企画室の木下氏は、その変化に驚きを隠せない。

「以前から月に数十件『サービスを利用したい』『資料を欲しい』という問い合わせがあったんです。それに対してパンフレットと申込書を送付していましたが、申込書を書いて送り返してくれる企業は2割程度でした。それが8~9割に上がったのです」

これは長瀬氏の提案で、問い合わせのあった企業に対して電話をしてアポイントをとり、訪問し説明するというアクションを加えたためである。木下氏は「当たり前のことをできていなかった」と反省の色を見せる。