バターやフォアグラは健康にいい

同じく2013年発行の『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』では、「低脂質食」「ナッツ摂取を推奨する地中海食」「オリーブオイル摂取を推奨する地中海食」の3グループを5年間にわたって比較した論文が発表されました。*2

地中海食は良質な脂質を摂取するため、カロリーは高くなります。が、ナッツ、オリーブオイル推奨の両グループとも、低脂質食に比べ、心血管系疾患(心筋梗塞、脳卒中など)の発症率が低いという結果でした。

ナッツやオリーブオイルはヘルシーなイメージもあると思いますので、健康の敵のように思われている飽和脂肪酸(バターやフォアグラに多い動物性脂肪ともよばれる油脂)を摂取するグループと、摂取しないようにしたグループを比較したデータもご紹介しましょう。

この論文では、飽和脂肪酸をそのまま食べたグループと、飽和脂肪酸をリノール酸に切り替えたグループを比較しています。*3

リノール酸は不飽和脂肪酸。俗に健康によいと信じ込まれてきました。

ですが結果は、バターやフォアグラを食べたグループのほうが、心血管系疾患の発症率も、死亡率も低かったのです。

また、日本人の場合でみますと、飽和脂肪酸の摂取量が多い方が脳卒中の発症率が低く、心筋梗塞の発症率については、飽和脂肪酸の摂取量の影響は無いに等しいというエビデンスもあります。*4

これらのエビデンスが意味することは何でしょうか。

脂質やカロリーの制限は、ダイエットや健康においてよい結果が得られるとは期待できず、むしろ良くないこともありえるということです。第1回目で触れたように、カロリー制限を続けるのは、とても大変なことです。そんな辛い思いをしてまで、良い結果が出ないのは馬鹿らしいと思いませんか?