雑誌『レタスクラブ』が売れている。復活の立役者・松田紀子氏が編集長になったのは約1年前。編集部の雰囲気が「静かすぎる」と感じた松田氏は、「ひらめきや発想を誰もが気軽に話せるような、のびのびとした職場に変えよう」と、さまざまな策を打った。なぜ売れる雑誌をつくるには「笑い声のある編集部」が必要なのか。松田氏にチーム運営の極意を聞いた。
『レタスクラブ』と聞けば、主婦向けの料理雑誌をイメージする人が多いだろう。創刊30周年を迎えた今年、月2回刊から月刊化に舵を切った2017年3月以降「3号連続の完売」を達成。発行部数を増やし、好調な販売が続いている。
出版不況が続く中でも、特に「雑誌は売れない」と言われる昨今。老舗媒体の『レタスクラブ』も同様に売れ行きが停滞していた。だから刊行ペースを落とし、月刊化したわけだが、なぜかそのタイミングで突然の復活を果たしたのだ。一体、その背景に何があったのだろうか?
コミックエッセイ畑から『レタスクラブ』編集長に
レタスクラブ再生のキーパーソンとなったのが、1年前に編集長に就任した松田紀子氏である。それまではコミックエッセイ部門の編集長を務めており、雑誌媒体の責任を持つのは初のことだった。
「就任当初の『レタスクラブ』は、食材別のレシピ提案が中心でした。例えば、『鶏肉対決! 胸肉VSもも肉』のように、料理好きでないと手に取らない内容。創刊当初から長く続いた黄金期の切り口をそのまま踏襲し続けているような、そんな印象を受けましたね」(松田氏)
松田氏は、『レタスクラブ』を引き受ける際、長く続けてきたコミックエッセイの編集からは離れたくないと考え、自ら編集長兼任を希望した。しかし、2つの部門を合算した売上目標は途方もなく大きな数字だったという。
「それぞれの実売部数と広告収入の目標数字があり、達成できるかどうかもわからないほどで(笑)。そこで、数字のことを考えて雑誌の中身をどうこうするよりも、まずは編集部のムードを明るく楽しくしようと考えたんです」