秋篠宮家の長女・眞子さまが、同級生の小室圭さんと婚約したことで、2人が通っていた国際基督教大学(ICU)に注目が集まっています。最大の特徴は「都内のキャンパスなのに留学気分」。寮の定員はこの数年で3倍に急拡大しており、在学生の4分の1が寮住まい。留学生も多く、頻繁に英語が飛び交う環境だといいます。ICU卒業生のライター・飯田樹さんが、その内実をリポートします。

大学の規模は東大のほぼ10分の1

ICUの「独特の校風」は、これまであまり知られてきませんでした。理由のひとつは、卒業生が少ないからでしょう。ICUの在学生は大学院生も含めて約3000人。東大の約2.7万人、慶應の3.3万人、早稲田の5.2万人に比べると、ほぼ10分の1以下の規模です。

「独特」といわれる校風の背景は、いくつか考えられます。文系・理系の区別がない「リベラルアーツ教育」、教員1人に対して学生18人の「少人数教育」、日英両語を公式言語とする「バイリンガリズム」。ほかにも色々ありますが、ICUの卒業生でもある筆者は、「学内寮」の存在が現在の最大の特徴だと考えています。

2017年4月に開寮した「樅寮・楓寮」。各居室の定員は原則2名で、学年の違う学生が同室となる。

2017年には新しい寮が2棟完成

ICUのキャンパスには約900人分の学内寮があります。在学生の3割が入れる規模があり、その定員数は約10年で3倍程度に急拡大しています。学内寮の歴史は古く、1955年からありますが、2010年~2011年にかけて定員数120名規模の寮が3棟完成。さらに2017年には合計320名が入居できる寮が2棟完成しました。これらの大規模な新寮が完成する前の2009年の入学案内には、寮の総収容定員は290名とあり、当時に比べて収容人数は約3倍に増えています。

寮を急拡大させている理由をICUに問い合わせたところ、以下の回答を得ました。「より多くの国内および国際学生が寮に入れるように環境を整えています。既存の寮も老朽化しており、改修のタイミングが重なりました。学生たちには寮内の多様性を感じながら、学びを深めてほしいと思います」(国際基督教大学学生サービス部)。

ICUとしては、寮を創立以来の重要な教育プログラムの一環と位置づけているそうで、「近年になり寮に力を入れ始めたわけではない」(同上)と言います。しかし、現在は学部生の約25%が寮に入っています(2017年5月1日時点)。学生の4人に1人が学内の寮に住む大学というのは、首都圏では珍しい。この寮と寮生の存在が、校風を一層独特のものにしている、というのが筆者の仮説です。

コスプレ姿で授業に出る「イニシエ」

ICUの寮には、ユニークな文化やイベントが数多くあります。例えば、4月と9月に新しく寮に入った新入生には、入学後すぐに仮装して学生生活を過ごす「イニシエーション(イニシエ)」というイベントがあります。

このイベントは入学したばかりの1年生にとって衝撃的です。クラスメイトの新入生が、約2週間、寮ごとに決められた珍妙なコスチュームで授業に出てくるからです。筆者も「だいぶ変わった大学に来てしまったな」と度肝を抜かれました。