「比較検討したのち、購入先を選ぶポイントはどこですか」という質問には、法人・個人とも同じ項目を挙げる回答者が多かった。順番は法人・個人とも同じなので以下にまとめて記そう。
1位になったのは「商品やサービスの品質・機能、提案の内容」である。多くの企業・消費者は、中身によって選んでいるということだ。
2位は「企業の信頼と信用」。そして3位になってはじめて「価格」が出てくる。これは導入時のコストとランニングコストを合わせたものだ。
「比較検討する」というときにイメージしやすいのは価格だが、実際には、企業や消費者は価格以上に中身や信用が大事だと考えている。このことはたいへん重要である。
今回の調査によれば、9割以上の会社が購買時にコンペを実施している。営業マンにとっては、新規開拓のチャンスが広がったとみることもできるだろう。だが、その際に価格だけで勝負をしかけようとしても、必ずしも成功しないということを調査結果は示している。あえていえば「見積書を出す以前に勝負はついている」のだ。
「提案内容と信用から仕入れ先はほぼ決定した。しかし、一層の値引きやサービス向上を期待できるので、競合他社にも声をかけ、形だけでもコンペを実施したい」
発注元の本音はこんなところだろう。企業が価格を最優先しないのは、次のような事情があるからだ。
この時期、いくら不況だといっても大企業の多くは資金繰りに窮しているわけではない。出せる金がないのではなく、出したくないのだ。別の言い方をすれば、品質と価格を十分に比較検討したうえで、コストパフォーマンスに優れたものを買いたいと考えている。そこには「安いだけ」の商品が割り込む余地はない、ということがおわかりだろう。