台北に出店、工場に新卒が100人入社

【田原】いま従業員はどれくらい?

【山田】正社員で20人です。店舗は国内4つ。売り上げでいうと、オンラインが6、店舗が4です。

【田原】今後の展望を教えてください。

【山田】今年の1月から台北に店舗を持ちました。その反応がすごくいいので、そろそろ世界にも積極的に出していきたいなと。もともと僕らはオンラインなので、月に100カ国以上の国からアクセスをいただいています。「Made in Japan」「fashion」で検索すると、ファクトリエが一番上に出てくるので。そのアクセス数が多い国から順に商品を提供していこうと考えています。

【田原】国内はどうですか。

【山田】国内は昨対比400%で伸びています。ただ、まだ経営が赤字の工場が多いですね。各工場の売り上げのうちファクトリエが3割を超えたら黒字化しますが、そのラインを越えるためにはファクトリエとして年間100億円の売り上げが必要です。なんとか20年までに達成できればと考えています。

【田原】まだ工場は苦しいですか。

【山田】ただ、確実に変わり始めています。じつはこの春、全工場合わせて約100人の新卒が入る予定です。これまでの20年間は新たに人を雇う余裕がなかったし、若い人も下請けの縫製工場に夢を持てずに見向きもしなかった。それがようやく人に投資できるくらいの利益が出て、自分たちでブランドをつくれるということで若い人たちも興味を持ち始めた。いいサイクルが生まれようとしています。

【田原】わかりました。楽しみですね。頑張ってください。

山田さんから田原さんへの質問

Q. 「豊か」に暮らすにはどうすればいいですか?

 豊かさというと経済を指すのかもしれませんが、僕にとって豊かさの象徴は「言論の自由」です。昭和20年まで日本に言論の自由はありませんでした。じつはその後も同じです。僕は1965年に世界ドキュメンタリー会議に出るためにモスクワに行きました。当時、僕はソ連が素晴らしい国だと思っていましたが、行ってみると言論の自由がない。こんな国は豊かではない、すぐ潰れると思いました。ただ、帰国後にソ連はダメだと言えなかった。そのころは左翼全盛で、本当のことをいえばパージされるからです。

残念ながら、いまは逆の状況で、右翼を批判すると総攻撃を受ける空気が流れています。どんなに物が溢れていても、これは豊かではない。一人一人が空気に流されずに自分の考えをいえる社会が、本当に豊かな社会なのだと思います。

田原総一朗の遺言:空気に流されず自分の考えを言え!

編集部より:
次回「田原総一朗・次代への遺言」は、ウツワ・ハヤカワ五味氏のインタビューを掲載します。一足先に読みたい方は、4月24日発売の『PRESIDENT5.15号』をごらんください。PRESIDENTは全国の書店、コンビニなどで購入できます。
 
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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