トランプ支持者に黒人が多数いる理由

「俺はトランプが大好きなんだ。だって、こんな面白いやついないだろ」

私は、2月24日にワシントン郊外で開催される全米保守派の総会Conservative Political Action Conference(CPAC)に出席するため渡米した。そこで乗ったタクシーの運転手にこう告げられて、さすがの私もびっくりしてしまった。なぜなら、その運転手が黒人で、その反応があまりにあけすけだったからである。日本において「トランプ支持者」というと白人の米国民を思い浮かべる人が少なくない。しかし、実際にアメリカ現地へ赴くと、トランプ支持を隠さない多くの黒人たちに出会うのである。

なぜ、トランプがアメリカ国民の支持を得て大統領に当選したのか。日本人にはなかなか理解できないことかもしれない。トランプが行き当たりばったりに破滅的な暴言を吐いていると指摘する有識者も多い。本当にそうなのだろうか。

全米税制改革協議会(ATR)会長 グローバー・ノーキスト氏●共和党保守派の実質的な司令塔として、大統領選挙戦でトランプを支持した米国最大級の政治団体・全米税制改革協議会議長。(AFLO=写真)

今回は、CPAC参加を通じて得た知見や、共和党最高幹部のグローバー・ノーキストへのインタビューを通じて、トランプの支持基盤や議会内支持勢力の内情を解き明かし、その中でトランプ政権の行方や対日政策を占っていく。

冒頭に登場した黒人のタクシー運転手は続けて、「不法移民が許せないんだ」と話を続けた。確かにCPAC会場参加者を見渡しても白人の比率は高い傾向にあるものの、黒人の参加者も多い。会場参加者によると、「トランプ政権の不法移民への強い姿勢を支持する黒人も少なくない」ということだった。白人と黒人の間の差別感情よりも不法移民に強い姿勢を見せたトランプを支持してきたのだろう。

トランプに好意的で人種差別的と報じられることが多い米国有力オンラインメディア、ブライトバートニュースネットワーク(BNN)のブースも会場にあったが、スタッフ席に黒人もいた。