トランプ政権は、史上最も保守的だ

レーガン大統領やトランプ大統領と同じ共和党の大統領であっても主流派の影響が強かったブッシュ親子が現職大統領として保守派の年次総会であるCPACに姿を現さなかったことと比較した場合、トランプ政権における共和党保守派の影響力の強さをうかがい知ることができる。

CPACのメイン会場では、トランプ大統領とともにマイク・ペンス副大統領、ラインス・プリーバス首席補佐官、スティーブ・バノン首席戦略官、ベッツイ・デボス教育長官、スコット・プルイット環境保護局長官、そして、トランプと予備選挙を争ったテッド・クルーズ上院議員などの保守派有力者が演説を行った。ペンス副大統領はバランス重視の副大統領と日本では紹介されがちであるが、CPACの主催団体であるAmerican Conservative Union(ACU)からは史上最も保守的な副大統領と評価されており、ペンス自身の演説の中で「トランプ政権は自らの人生で最も保守的な政権である」と評した。

プリーバス首席補佐官も前職の党組織のトップである全米共和党全国委員会委員長の椅子を主流派候補者と競って勝ち取った保守派の人物である。トランプ大統領の脇を固めるホワイトハウスの要職を保守派が占拠していることは明白だ。トランプ大統領が実際に行う政策の数々は彼らのスクリーニングを通って表に出てくることになる。

また、CPAC会場に参加している保守派のリーダーの人々の特徴は多様である。ビジネス上の規制緩和を求める団体、ティーパーティー、全米ライフル協会、キリスト教系団体、リバタリアン系の学生団体、有力シンクタンク、保守系メディア、保守派の運動員を育てる訓練組織、その他諸々の保守に分類される人々が一堂に会していた。

(左上)保守派の代表格であるテッド・クルーズ上院議員も登壇。(右上)会場ではコスプレおじさんも毎年出現。(左下)展示スペースでは保守派団体が参加者にPR活動を実施。(右下)トランプファンのタクシー運転手。黒人からも意外と人気がある。(AFLO=写真)

主に1980年代のレーガン大統領が標榜していた小さな政府・家族重視の価値観に基づく保守思想に近い人々が中核を占めているものの、今回から新参のポピュリズム勢力であるオルト・ライト(≒白人至上主義の全体主義運動)の一角とみなされる前述のBNNも出席を果たした。

日本ではBNNは極右メディアとして紹介されることもあるが、保守派内ではBNNはレーガン保守とは距離があるポピュリストの集まりとみなされているにすぎない。実際には米国にはBNNよりも遥かに右寄りの団体が存在しており、それらは保守派からCPACへの参画を完全に排除された。

(文中敬称略)

渡瀬裕哉
1981年、東京生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。早大招聘研究員。国内の首長・議会選挙の政策立案・政治活動のプランニング等に関わる。米国共和党保守派と深い関係を持ち、保守派指導者が集うFREEPACの日本人初の来賓となる。著書に『トランプの黒幕』。