「報連相」を侮る者は、上から信頼されない

上役を立てるという意味では、上司への報告、連絡、相談を欠かさないことも最重要。上に立つ人間にとっては、大事なことを聞かされていないことが何よりもストレスになるからだ。いわゆる「報連相」である。佐々木氏はまだ課長だった頃から、上司のスケジュールをすべてチェックし、2週間に1度、最も余裕のある時間帯に30分のアポイントを入れていた。

そこで気をつけていたポイントが3つある。まず、事前に要件を書いて渡しておくこと。上司と対面しているときは、結論を先に述べて簡潔を旨とし、忘れずに自分の意見も添えることだ。

人間というのは何にしても予告があると落ち着くものだ。だから先に要件を伝えておく。また、「話が長いヤツ」と思われると時間を取ってもらえなくなるリスクがあるため、何より手短に済ませることを心がける。

上司のお伺いを立てる際にも、自分の意見を先に述べることが肝要。「A案とB案があり、私はこういう理由でA案がいいと思うのですが」などと選択肢とセットで伝えられるとベストだ。大抵の場合、上司は「それでいけ」となる。

部下が真剣に考えたことがわかれば、よほど問題を感じない限りは任せてみようと思うものだ。こうして早い段階で上司の「お墨付き」をもらっておくことで、他部署との折衝やクライアントとの商談に際しても、「私の上司もそう言っています」と自信を持って言える。おかげで佐々木氏自身、俄然仕事がやりやすくなったという。

解答:戦略的な“太鼓持ち”が評価される
佐々木常夫
佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表
1969年、東大経済学部卒業、同年東レ入社。自閉症の長男と肝臓病とうつ病を患う妻の看病をしながら仕事に全力で取り組む。2001年取締役。03年東レ経営研究所社長。10年より現職。
 
小倉 広
小倉広事務所代表取締役
組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー。大学卒業後、リクルート入社。ソースネクスト常務などを経て現職。一般社団法人「人間塾」主宰。「人生学」の探求、普及活動を行う。
 
田島弓子
ブラマンテ代表取締役
IT業界専門の展示会主催会社でマーケティングマネジャーを務めた後、1999年マイクロソフト日本法人に転職。営業、マーケティングに従事し、営業部長を務める。2007年ブラマンテ設立。
 
(大沢尚芳=撮影)
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