9月2日、小池知事は、舛添要一氏がHP上での公開を取りやめた「朝鮮学校調査報告書」を再公開した。朝鮮学校で用いられる教科書に、「主体思想は、偉大なる金日成主席様が創始され、敬愛する金正日将軍様が発展・豊富化された、人間解放のための新しい思想だ」(高級部1年「社会」教科書)や、「日本の地のあちこち 我が同胞暮らす所に 誇らしい総連組織堂々と築いて祖国のため権利のため全ての犠牲を顧みず 聡明なる活動家が団結して働きます 首領様の高き教示 心で奉じて事業する 我らの誇り並大抵ではありません」(中級部3年「音楽」教科書)などの記述があることが報告されている。

実は、この「朝鮮学校調査報告書」は、野田氏が都議会議員だった時代に、当時の石原慎太郎都知事の特命を受けて、野田氏が調査メンバーを選んだ。

さらに、野田氏の都議会での質問がきっかけとなって、東京都は朝鮮学校への補助金を取りやめた。全国の自治体が東京都に倣ったことで補助金打ち切りの動きが広まった。野田氏のもとには脅迫状が殺到し、つきまとい事案も発生したという。野田氏のその議会質問を事前に取りやめるよう圧力をかけたのが当時の都議会自民党の執行部だった。尖閣諸島の問題でも、石原氏の意向を実行に移そうとした野田氏の足を引っ張った。これらの問題が原因となって、野田氏は都議会自民党と袂を分かつことになった。野田氏が投げた“紙爆弾”は波紋を呼びそうだ。

舛添都知事時代まで、都議会自民党と共同歩調をとってきた都議会公明党の議員は「自民都議は地元に行くと支援者から『小池百合子をいじめるな』と突き上げをくらい脳死状態になってしまった。突然知事を無視してみたり、メディアの前で支持すると笑ったり、と傍目にも意味がわからない。母親を前にした幼児のようだ」と呆れ顔だ。

執行部と距離を置くことにした都議会自民党の議員は「内田茂・前都連幹事長のやり方は、都議だった野田氏が一番よく知っている。執行部が期待するような『節目が変わるタイミング』が本当に都議選までに訪れるのか。『小池はヒステリーだ』『野田はヤバイ』と訴えても都民の耳には届かない」と危機感を露わにする。

(時事通信フォト=写真)
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