これは仮説思考による見事な再生事例だと思います。年配の女性の受けがいいことは旅館のスタッフも感覚的に捉えていたのでしょうが、それを顧客データという形で定量的に分析した結果、経営資源のメリハリをつけていないという問題が浮き彫りになりました。そして、「年配女性にフォーカスすべきではないか」という仮説にたどりついたわけです。

再生のプロである星野社長の頭の中には早い段階からそうした仮説があったのかもしれませんが、コンセプトづくりには現場の“共感”が重要であり、再生の推進力になるという考えから、仮説思考の手順を誰の目にも見える形で踏んだのだと思います。

星野リゾート・「湯の宿いづみ荘」の再生例
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星野リゾート・「湯の宿いづみ荘」の再生例

仮説思考の要はやはり仮説構築です。当てずっぽうな仮説でスタートすると、かえって仕事の効率が落ちます。星野社長のように豊富な経験に裏打ちされた仮説構築の思考回路があるなら話は別ですが、自信がない場合は、情報収集を行って、状況の棚卸しや構造化に取り組むほうが結果として早道になるでしょう。

(構成=小川 剛)