メモを取りたくなる達人たちの雑談

「雑談の達人=面白い話をする人」という意味なら、経済学者の竹中平蔵さんは外せません。彼は、毎回メモを取りたくなるくらい興味深い話を披露してくださいます。しかも、それらがすべて自分の経験から社会情勢への分析につながっているからすごい。たとえば、「大学の面接でこんな話をする学生に会った。これからは○○が試される時代だから、こういう子が伸びて、こんな世界になっていくのだろう」というように、竹中さんのお話を聞くと、身近なところに未来を読み解くヒントがあるのだとわかり、いつも目からウロコが落ちる思いです。教授職というご職業柄もあるでしょうが、一方的に話すのではなく、「あなたはどう思う?」と他人の意見を聞き、輪の中でまんべんなく話をさせる「場を回す」技術に長けているのも竹中さんの特徴です。「ありがたい話を拝聴する」のではなく、自分も議論に加わったという感覚は、その場にいるすべての人に充実感を与えます。

あなたは初対面の人とどんな話をしますか?

大物投資家ジム・ロジャーズさんも、「アメリカ版竹中平蔵」とでもいうべき話題提供者です。普通ならインタビューでしか発言しないようなマーケット分析についても惜しみなくお話になるので、ジャーナリストとしては「オンエアのときに話してほしかった」と感じることも。しかし、あんな大物がそこまでの情報を提供すると、誰もが自分のとっておきの情報を披露しはじめます。雑談の達人になると、自然と精度の高い情報が集まる好循環が生まれるのです。

【調査概要】
年収1000万円以上で「自分の人生は成功だ」と思っている人(成功者)と、年収300万円以下で「自分の人生は失敗だ」と思っている人(失敗者)に、リサーチプラスにて、各100人にアンケート調査を実施。2015年3月6~9日。

ジャーナリスト・経済キャスター 谷本有香
証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスターに。トニー・ブレア元英首相の独占インタビューをはじめ、世界のVIPたちへのインタビューは1000人を超える。現在、日経CNBC「夜エクスプレス」のアンカーを担当。テレビ朝日「サンデースクランブル」ゲストコメンテーターとして不定期出演中。
(大高志帆=構成 時事通信フォト=写真)
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