人間関係を構築するうえで、成功者とそうでない人はどこがどう違うのか。それがわかれば、成功への道のりも見えてくるというものだ。世界中のVIP1000人以上に取材を重ねてきたジャーナリスト・谷本有香さんにお話を聞いた。
沈んだら戻れない利己的経営者の末路
まず最初に挙げられるのは、「自分の利益しか考えていない人」。基本的に人は、利他の精神で動く志の高い人を応援したいと感じます。そのため、いつまでたっても自分の利益ばかりを追いかけている人は、次第に誰からも支えられなくなり、「尊敬されるリーダー」でいられなくなるのです。すると、事業が傾いたタイミングで、簡単にトップから引きずりおろされてしまいます。「ビジネスは浮き沈みが激しいものだ」と言われますが、浮いたり沈んだりするのは愛される成功者のみができること。周囲の引き立てがあるから、巻き返すことができるのです。利己的な人は、急浮上しても「沈んだまま戻ってこられない」ケースのほうが多いというのが私の実感です。
大金を稼ぐ、大企業の社長になるなど、「成功した」と世間から認められるのは実は意外と簡単です。最近でいえば、太陽光発電関連の事業で「成功した人」がたくさんいましたし、私も何人も取材させていただきました。でも、2度同じ人に取材したことはほとんどありません。つまり、利益追求しかしなかったせいで、数年のうちにみなさん沈んでしまったのです。急激に業績が上がって「成功者」ともてはやされた人は、トップとして人間的に成長するための時間が短いぶん、このような残念な結果に終わることが多いようです。
これは余談ですが、韓国、中国などアジア勢のトップたちも、「社会貢献」という建前より先に「暮らしを豊かにしたい」「大国に追いつきたい」という本音が見えがちです。国としてのステージの問題もありますが、彼らの中から「真の成功者」が輩出されるのは、もう少し先のことになりそうです。