日本が「監視リスト」入りした意味

ゴールデンウィーク突入直前の4月29日(米国時間)、米財務省から半年に1回の為替報告書(FOREIGN EXCHANGE POLICIES OF MAJOR TRADING PARTNERS OF THE UNITED STATES) が公表された。筆者がかつて外国為替市場で実際に取引をしていた時には、必読の報告書だった。というのも、最新のデータを織り込んで、各国の為替政策のスタンスに対する米国の見解が端的に把握できるからだ。

以前は、公表となると国内の主要メディア等でもそれなりに取り沙汰されていた記憶がある。ところがここ数年、その内容がアベノミクスに対してかなり否定的となってくるに連れ、国内での報道の頻度が下がってきた感は否めない。さすがに日本が「監視リスト」入りしたことで、いかに都合が悪くとも今度ばかりは無視できなかったのだろう。

米財務省は各国の為替政策が公正か否かを客観的に判断するため、今年2月にオバマ大統領が署名、成立した「貿易促進法2015」を元に、貿易収支・経常収支・為替介入の3つの項目からなる新基準を採用した。すべて抵触すればスリー・ストライクとなり「為替操作国」と認定される。

となれば米国からの制裁措置をも視野に入れる必要に迫られるのだが、この度の報告書で該当国なし。今回「監視リスト」入りした中国、日本、韓国、台湾、ドイツは3項目中2つに抵触してツー・アウトの状況だ。

報告書の概要はすでに各紙で伝えられている通りだが、それ以外の詳細部分について目を向けてみたい。